NO.263 10年2月15日号

1.車部品にリコール導入、米が懸念の書簡

2.日整連「1級整備士」の実現へ,運輸省に要望

3.新規認証事業場の入会等に際しての独禁法と振興会(支部も含む)の対応について

4.専門認証工場数200カ所突破

5.春の交通安全運動は4月6日(月)〜15日(水)までの10日間

6.タイヤの整備不良率増加傾向,整備不良第1位は「タイヤ溝不足」,車種別ワースト1は特種車,次いで貨物車,乗用車の順

7.日経トレンディ(98.3月号)「新車販売に個人リース,新型ローン,広がる車検の選択肢」より

8.任意保険料率,13年ぶり,5月から平均2%引き下げ

9.日整連,ユーザー車検後の整備工場の入庫事例調査発表,代行業者依頼が64.1%,車検前の点検整備5%

1.車部品にリコール導入、米が懸念の書簡

 2月5日の読売新聞ニュース速報によると,アメリカ政府は2月3日,日本が新たに導入を検討している自動車部品に対するリコール(欠陥製品の回収)制度と,自動車のタイヤやランプなどの部品ごとの型式承認について,「政府が公約している規制緩和に逆行する。改正内容に関する情報公開が不十分で透明性に欠ける」などの懸念を伝える書簡を,週内にも日本政府に送付する方針を固めた。米通商筋が明らかにした。アメリカは,規制緩和に関する日米新協議などの場でも懸念を伝える考えだ。

 自動車本体のリコール制度は従来からあるが,運輸省が道路運送車両法の改正で新たに導入するリコール制度は,補修部品を対象にしている。ユーザー車検の広がりなどを踏まえ,部品の不良情報を早期に消費者に伝える狙いがある。 これに対し,アメリカは,輸入部品の場合,リコールの回収責任が輸入業者や販売店に課される見通しであることから,市場参入の新たな障壁になることを懸念している。

 一方,自動車部品に対する型式指定制度の新設は,欧州連合の制度を日本にも適用し,日・欧の相互認証を進めるのが目的だが,アメリカは不必要な規制強化になるとして,情報の収集と分析を急いでいる。

 装置別リコール制度に関する新聞記事は「資料1」のとおり。

2.日整連「1級整備士」の実現へ,運輸省に要望

 日整連は,制度上は存在しながら実際には運用されていない「1級自動車整備士」の早期実現を運輸省に要望する。過去に全国自動車短期大学協会などが要望をしてきたが,日整連として1級整備士の実現に向け動くのは初めて。2月9日,10日に運輸省,自動車関係団体,装置別整備士制度の新設を求める米政府などが集まる「今後の整備士制度のあり方に関するヒアリング」の場で正式に提案した。

 日整連の1級整備士に関する新聞記事は「資料2」のとおり。

3.新規認証事業場の入会等に際しての独禁法と振興会(支部も含む)の対応について

 平成9年10月末における全国の認証事業場数は85,145事業場となり,平成8年11月からの一年間に1,630の新規認証事業場が誕生している。

 先般,ある振興会の一支部において,支部活動,入会に当たって,独禁法に抵触しているおそれがあるとして,公正取引委員会の調査を受けるという不祥事が発生した(現在調査継続中)。

 調査対象となった内容と公取委の見解は,以下のとおり。

  (1)車検・定期点検の標準料金表(掲示用)を作成,配布時にモデル料金を呈示した。

  (2)割安車検業者に対する自粛要請は,過度,ストレートで必要以上にかかわるならば問題がある。

  (3)支部入会時の契約書の内容の「適正価格の維持」,「広告宣伝に関すること」などはカルテルの可能性がある。

  (4)入会同意書により,地元業者の同意を取り付けて業界に入れている。加入制限をし,新規申請を押さえる効果があれば問題。また,同意が支部イコール振興会の関係があればこれも問題である。

 これにより,日整連より各県振興会に対して,公益法人である振興会の支部として適切な支部活動を行うよう指導方依頼があった。

 「新規認証事業場の入会等に際しての独禁法と振興会(支部も含む)の対応について」は「資料3」のとおり。

4.専門認証工場数200カ所突破

 昨年2月に発足した特定部品専門の認証工場(専門認証)制度が着実に浸透している。

 運輸省のまとめによると,昨年12月末時点の専門認証工場数は200カ所を突破。昨年10月からの3カ月間では,工場数はほぼ倍増という勢いだ。

 業態別ではガソリンスタンド,用品販売店といった異業種が過半数を占め,SSはここ3カ月間で増加が2倍以上と急ピッチだ。(日刊自動車新聞より)

 ◆専門認証工場の業態別・地域別内訳  
専業工場 ガソリンスタンド 用品店 車検代行業 ディーラー その他 合 計

北海道

1 5 14 1 2 1 24

東 北

8 2 3 1 1 0 15

新 潟

1 1 7 0 1 0 10

関 東

9 18 8 3 1 9 48

中 部

18 14 4 1 0 0 37

近 畿

25 6 1 2 2 2 38

中 国

2 4 5 2 0 0 13

四 国

3 0 1 0 0 0 4

九 州

1 6 6 0 1 1 15

沖 縄

0 0 1 0 0 0 1

合 計

68 56 50 10 8 13 205

5.春の交通安全運動は4月6日(月)〜15日(水)までの10日間

 政府の交通対策本部は,1月20日「平成10年春の全国交通安全運動実施要綱」を決定し,交通対策本部長並びに総務長官の連名で日整連会長に対して,この運動への推進協力方を要請した。

 平成10年春の全国交通安全運動は,4月6日(月)〜15日(水)までの10日間にかけて実施される。

 全国の重点目標は(1)子供と高齢者の交通事故防止,(2)シートベルトの着用の徹底となっている。

 「平成10年春の全国交通安全運動実施要綱」は「資料4」のとおり。

6.タイヤの整備不良率増加傾向,整備不良第1位は「タイヤ溝不足」,車種別ワースト1は特種車,次いで貨物車,乗用車の順

 日本自動車タイヤ協会は,昨年(1〜12月)の169回の路上タイヤ点検を実施し,その結果をまとめた。

 路上タイヤ点検は,高速道路(含,自動車専用道路)53回,一般道路で116回の合計「169回,17,547台」に実施された。

 17,547台のうちタイヤに整備不良があった車両は2,474台,不良率14.1%となっており,前回の実績に比べ0.1ポイントの増加となっている。道路別では,高速道路のタイヤ整備不良率は11.6%で0.9ポイントの増加,一般道路は15.1%で0.8ポイントの減少という結果になっている。

 タイヤの整備不良率1位は「タイヤ溝不足」で6.6%,次いで「異常摩耗」3.7%,「空気圧不足」2.3%と,「タイヤ溝不足」が今回も第1位となっている。 車種別ワースト1は,不良率第1位は特種車で21.0%(2.3ポイントの減少),次いで貨物車18.8%(0.1ポイントの減少),乗用車10.8%(0.6ポイントの増加)の順となっている。

 1997年日本自動車タイヤ協会「路上タイヤ点検結果」は「資料5」のとおり。

7.日経トレンディ(98.3月号)「新車販売に個人リース,新型ローン,広がる車検の選択肢」より

 日経トレンディー98.3月号において,「生活防衛大戦争」と題した特集が掲載され,「車検」に関する記事が取り上げられた。

 「もっとも安い費用で車検を通すには自分で車検場に車を持ち込むユーザー車検,だが,車検のあとすぐに故障が起きたというケースが目立っており,件数的にもユーザー車検は曲がり角を迎えている,変わって注目されているのが『ニューサービス車検』である」としたうえで,ユーザーの車検選択肢は一段と広がりつつあることを紹介している。

 日経トレンディー98.3月号記事は「資料6」のとおり。

8.任意保険料率,13年ぶり,5月から平均2%引き下げ

 自動車保険料率算定会は,任意加入の自動車保険料率を平均2%引き下げる。実施は5月1日を予定。事故率の低下で加盟損保収益状況が好転したためで,値下げは1985年9月以来ほぼ13年ぶり。保険種類別では,対人賠償8.6%,搭乗者傷害6.8%それぞれ引き下げられる。対物賠償は据え置きで,車両保険は2.5%の引き下げとなる。また,30歳以上のドライバーの事故率が低いことから,運転者を30歳以上に限定した割安な特約を新たに設定した。

9.日整連,ユーザー車検後の整備工場の入庫事例調査発表,代行業者依頼が64.1%,車検前の点検整備5%

 日整連がまとめた「ユーザー車検後の整備工場入庫事例調査」によると,調査対象605件のうち,3分の2が車検代行業に依頼し,車検合格後に不具合で入庫した車両も3分の2を占め,ユーザー車検前に定期点検整備を実施していた車両はわずか5%しかなかった。日整連では今後も半年ごとに調査結果をとりまとめ,適正な点検整備の推進とユーザーの保守管理責任意識の醸成に活用していくことにしている。

 平成7年7月の車両法改正で「定期点検整備の実施時期は検査の前後を間わない」とされた結果,平成8年度のユーザー車検件数は182万4千件に達し,定期点検整備を実施していない車両による事故・故障の増加が懸念されている。

 このため,日整連では全国の整備工場にユーザー車検の入庫車両の調査を依頼し,今回は昨年1〜6月分の計605件についで集計した。それによると,受検方法は車検代行業者に依頼したユーザーが388件(64.1%)と,自ら国の車検場で実施の153件(25.3%)より倍以上多かった。

 性別では男性が74.4%,女性が22.6%と男性が圧倒的に多いが,代行業に依頼しだ割台は女性が78.8%,男性が59.8%と,女性のほうが比重が高い。

 年代別では20歳代,40歳代,30歳代の順に多く,この三世代でユーザー車検全体の75%を占め,代行業者への依頼も20〜40代に73.2%が集中している。

 入庫理由は,@車検合格後の不具合発生388件(64.1%)@車検不合格による再検個所整備78件(12.9%)@前検査で合格後の定期点検整備56件(9.3%)となり,不具合発生での入庫が高率を示している。

 受検方法と入庫理由の関係を見ると,代行業者に依頼して入庫した388件のうち,車検合格後の不具合が300件(77.3%),再検個所整備が28件(7.2%)。ユーザー自身が受検した153件はそれぞれ68件(44.4%),47件(30.7%)と,代行業者に依頼したあとに不具合が発生したケースが多い。

 ユーザー車検前に定期点検を実施したユーザーは30件(5.0%)にすぎず実施せずに受検が341件(56.4%)と過半数を超え,代行業者に依頼したユーザーの68.6%が未実施だっだ。

 また,未実施ユーザーの71.0%は車検合格後の不具合で入庫しており,定期点検を怠ったまま車検を代行業者に依頼し,検査後にトラブルが発生して入庫…というケースがかなり発生している様子がうかがえる。

 なお,この調査結果については「日整連ニュース」の3月・4月号に掲載される予定となっている。

◆お詫びと訂正について

 事務局情報の一部に誤りがありました。謹んでお詫び申し上げますとともに,訂正方のお願いを申し上げます。

 261号(1月14日号)のユーザー車検件数の項で,表並びに本文中の「単位:百件」が抜けておりました。

 262号(2月1日号)の「車検についてのアンケート報告書」Q2のSQ1の設問項目において,一部誤解をまねく分類がありました。ここでいう「民間車検場」とは,認証工場と指定工場を含んだ意味です。分類項目の「民間車検場」を「整備工場」と訂正くださいますようお願い申し上げます。