NO.265 平成10年3月15日号

1.分解整備検査の廃止等,道路運送車両法の一部を改正する法律案が閣  議決定される

2.兵庫県振興会加古川支部,独占禁止法違反の疑いで公取委警告

3.重量税の返還訴訟,原告の請求を棄却

4.JAFロードサービス,トラブル1位は「キーの閉じ込み」

5.ドイツの車検機関発表,日本車は故障が少ない

6.エアバッグでやけどや服燃える,空気穴から熱風

7.日本石油が“SS整備士ここにあり”テレビコマーシャル展開

8.平成9年度第3・四半期に全国の整備相談所に寄せられたユーザーか  らの相談件数は83件

1.分解整備検査の廃止等,道路運送車両法の一部を改正する法律案が閣議決定される

 運輸省が今国会に提出する,分解整備検査の廃止,自動車部品審査の簡素化などを盛り込んだ道路運送車両法の改正案が3月3日に閣議決定された。

 改正案は,(1)自動車の装置について,運輸大臣が型式指定を行うこととし,この指定を受けた装置については,自動車全体の型式指定の際の保安基準適合性に関する審査を省略することを内容とした「装置別型式指定制度の創設」,(2)自動車使用者が自ら分解整備を実施した場合に義務付けている分解整備検査を廃止するとした「分解整備検査の廃止」,(3)新車の検査時に現車提示の代替となる完成検査終了証の有効期間を現行の6カ月から9カ月へ延長する「新車完成検査終了証の有効期間の延長」等が主な内容となっている。

 分解整備検査に関する主な改正内容は以下のとおり。

(1)分解整備関係

■分解整備検査の廃止(第64条)

 使用者自らが分解整備検査を実施した場合に使用者に受検義務が課せられている国の分解整備検査を廃止する。

■記録簿の記載及び保存(第49条)

 従来の「定期点検記録簿」を「点検整備記録簿」とし,使用者自らが分解整備を実施した場合には,整備の概要,整備を完了した年月日等を点検整備記録簿(点検に係る部分を除く)に記載するとともに,これを備え置くことを,使用者に義務付ける。

 この記録簿の保存期間は従来の定期点検記録簿と同様とする。

(2)分解整備事業の認証制度関係

■認証制度の維持(第80条)

 分解整備事業の認証制度について基本的に維持する。

 なお,分解整備検査の廃止及び分解整備事業の多様化に伴い,認証基準のうち,検査主任者及び経理的基礎に関する事項を削除する(設備,従業員及び欠格事由については変更なし)。

■検査主任者の廃止及び整備主任者(仮称)の新設(第85条〜第88条)

 分解整備検査の廃止に伴い,従来分解整備事業者に選任することが義務付けられていた検査主任者に関する制度をすべて廃止する。

 なお,適切な整備サービスを提供する観点から,整備作業を統括する者を引き続き事業所ごとに選任する必要があることから,新たに「整備主任者(仮称)」制度が運輸省令により定められる模様である。なお,「整備主任者(仮称)」は,従来の検査主任者の業務を受け継ぐものであり,整備主任者の選任,研修の受講義務等の当該制度に関する規定,さらに従業員要件として2級整備士を最低1名配置する規定を運輸省令において定めることにより,こうした方針が担保される予定である。

■分解整備事業者の検査廃止及び保安基準適合義務規定の創設(第90条)
 国の分解整備検査の廃止(第64条)に伴い,分解整備事業者が分解整備を完了したときに行ってきた保安基準適合性に関する検査(第90条)を廃止する。

 なお,分解整備事業者が分解整備を行う際の保安基準適合義務については何ら変わりがないことから,新たに分解整備事業者の保安基準適合義務規定を設けることとする。

■分解整備記録簿の記載事項の見直し及びユーザーへの交付の義務付け(第91条)

 分解整備事業者が分解整備を行った場合に記載・保存している分解整備記録簿については,次の改正を行う。

・記載事項の見直し

 「原動
機の型式」,「車名及び型式」,「検査を執行した者の氏名」について,記載項目から削除する。

・ユーザーへの交付義務付け

 従来は,使用者からの請求により分解整備事業者が分解整備記録簿の写しを交付することになって
いたが,今後は,使用者の請求にかかわらず使用者に交付することを義務付けることとする。

 なお,この記録簿の分解整備事業者における保存期間は従来と同じ2年間である。

 ※分解整備を行った場合の記録簿については,ユーザー自身が行った場合は,「点検整備記録簿」に記録(改正後の第49条の規定)することとなり,ユーザーの依頼により分解整備事業者が行った場合は「分解整備記録簿」に記録(改正後の第91条の規定)することとなる。

 なお,これらの改正案については,今国会に提出され,法案成立後,完成検査終了証は公布と同日に,その他については公布の日から6カ月以内に施行される。

 「道路運送車両法の一部を改正する法律案概要」(運輸省資料)は,「資料1」のとおり。

2.兵庫県振興会加古川支部,独占禁止法違反の疑いで公取委警告

 公正取引委員会は,兵庫県自動車整備振興会の支部が車検,点検整備などについて標準的な料金を決め,支部員に実施させている疑いがあるとして,独占禁止法に違反する恐れがあるとの内容の警告を行った。

 警告の内容は,(1)支部員の行う車検,点検整備などの標準料金を決定したうえで,「車検,点検等標準料金表」として支部員に配布,実施させていた,(2)低料金の車検広告を行った支部員に対して広告掲載中止を求めた(3)新規加入者に対し,適正な料金体系の維持を内容とする契約書を提出させている…との疑いが認められ,これらの行為は独禁法の規定違反の恐れがあるとしている。
 公取委警告報道に関する記事は「資料2」のとおり。

3.重量税の返還訴訟,原告の請求を棄却

 12カ月定期点検整備で,分解検査を受けた際に重量税を支払わなければならないのは,自主点検を促す道路運送車両法の趣旨と矛盾するとして,神戸市の「全国ユーザー車検友の会」金柱天会長が国を相手取り重量税の返還を求めていた訴訟で,東京地方裁判所はこのほど,原告の請求を棄却する判決を下した。車両法における分解整備検査制度と,これとリンクする重量税に関する初の司法判断として注目を集めていた。

 これは,金さんが95年10月に自家用自動車の12カ月定期点検整備を自身で行った際,ブレーキドラムを取り外したことから分解検査を受けるよう兵庫陸運支局から指示され,前回の車検から1年しか経過していないのに,その検査に伴う重量税の支払いを求められたことに対して,「支払った重量税26,600円を返還するよう」国に求める提訴を96年8月に起こしたもの。

4.JAFロードサービス,トラブル1位は「キーの閉じ込み」

 日本自動車連盟は,2月1日から7日までの1週間,ロードサービスの原因別出動理由を発表した。

 これは,同期間内にJAFが全国のロードサービスで処理した47,507件(一般道路45,134件,高速道路2,373件)について,出動理由別に調査したもので,それによると,最も多かったのは「キーの閉じ込み」で14,490件,全体の30.5%を占めた。以下「バッテリーの過放電」20,913件,23.0%,「落輪・落ち込み」4,478件,9.4%等の結果となっている。

 「JAFロードサービス原因別の出動理由」(調査期間 2月1日〜7日)は以下のとおり。
順位 故 障 内 容 件 数 構成比(%)
1位 キーの閉じ込み 14,490 30.5
2位 バッテリーの過放電 10,913 23.0
3位 落輪・落ち込み  4,478 9.4
4位 事故 3,737 7.9
5位 タイヤトラブルの処理 3,239 6.8
6位 バッテリーの破損,劣化 1,924 4.0
7位 燃料切れ 1,235 2.6
8位 充電回路 857 1.8
9位 スパークプラグ 604 1.3
10位 タイミングベルト 470 1.0
総 件 数 47,507

 5.ドイツの車検機関発表,日本車は故障が少ない

 2月17日,フランクフルト共同通信ニュース速報によると,ドイツの車検機関である検査協会は2月17日,ドイツ国内の自動車約330万台を対象にした1997年の安全性調査の結果,エンジンやブレーキなど39万台に重大な欠陥が見つかったが,日本車は故障が最も少なかったとの年次報告を発表した。
 

 報告によると,日本車は新車登録後7年までの小型車部門と中型車部門で安全性が最も高いと評価された。9年以上の中古車では,ドイツ車が力を発揮し始め,上位に食い込んでいる。

6.エアバッグでやけどや服燃える,空気穴から熱風

 朝日新聞ニュース速報によると,「エアバッグ」でやけどをしたり,着衣や車のハンドルが燃えたりする火災が全国で起きている。

◇朝日新聞ニュース速報(2月28日)

 自動車の衝突事故の際に膨らむ「エアバッグ」でやけどをしたり,着衣や車のハンドルが燃えたりする火災が全国で起きている。東京消防庁や国民生活センターなどの調べで分かった。火災は,エアバッグが開く際に着火剤として使われている火薬や,エアバッグの空気穴から噴き出した熱風が原因とみられ,これまで四件の報告例があるという。同庁などは「車が全焼する火災につながりかねない」としている。

 東京消防庁の調べでは,昨年10月4日,東京都練馬区の路上で,男子学生の運転する乗用車が電柱に衝突,エアバッグが開いた。しばらくすると車内に煙が立ちこめ,上着の胸付近が燃えているのに気づいたという。同庁は着火剤の火薬の火の粉が飛び散ったのが原因とみている。

 昨年6月6日,横浜市瀬谷区の交差点で,乗用車同士が出合い頭にぶつかった。エアバッグは作動したものの,運転していた男性が空気穴からの熱風で右腕や肩に大やけどを負い,一カ月以上通院したという。

 1995年11月4日,大阪市鶴見区で男性会社員の乗用車が道路わきの鉄柱に衝突した。作動したエアバッグの空気穴からの熱風で,会社員が軽いやけどをしたほか,ハンドルやエアバッグが焼けたという。同様の火災は,北海道内でも報告されている。

 エアバッグは,車の前面部の衝突で,センサーが一定以上の衝撃を感知すると作動する。圧縮ガスに火薬で着火すると,一気に袋がふくらみ,その後,空気穴からガスが抜けて,しぼむ仕組み。

 ガスの温度は,着火時300〜500度で,空気穴から出る時には150度程度になる。空気穴はフロントガラス側にあり,人に直接当たらないように考えられていたという。

 運輸省自動車交通局は「エアバッグで火災が起きたり,やけどをしたりする例は,米国などでも報告されている。国内でも実際はもっとあるだろう。エアバッグの技術はまだ開発の余地があり,業界に改善を促したい」と話している。 エアバッグについては,これまで国民生活センターに「走行中に突然開いた」などの苦情が寄せられ,同センターは昨年11月,日本自動車工業会に対し,エアバッグの作動条件や限界などについて消費者に十分な情報提供をするように要望していた。

 工業会によると,自動車のエアバッグ装着率は生産段階で,94年は6%だったが,97年には87%にまであがっている。

7.日本石油が“SS整備士ここにあり”テレビコマーシャル展開

 日本石油は,ガソリンスタンドにおける整備士の存在をアピールするために,全国のテレビ,ラジオや雑誌,交通機関の車内等でのコマーシャルを展開する。

 テレビCMは3月7日から放映され,系列SSに国家試験を取得した整備士が8,000人在籍していることから,技術力をもったスタッフをSSに送り出していることをアピールするとしている。

 日石テレビCMに関する新聞記事は「資料3」のとおり。

8.平成9年度第3・四半期に全国の整備相談所に寄せられたユーザーからの相談件数は83件

 平成9年度第3・四半期(平成9年10〜12月)に全国の各自動車整備振興会整備相談所にユーザーから寄せられた相談件数は83件となった。

 このうち,整備関係は63件,販売関係10件,その他10件となっている。

 主な相談事例は「資料4」のとおり。