来日中のフィッシャー米通商代表部(USTR)次席代表は27日,運輸省の土井勝二運輸審議官と会談し,自動車の車検問題など運輸関連での規制緩和についてさらなる努力を要望した。
自動車の車検制度では,運輸省は既に分解整備検査を昨年11月に廃止しているが,次席代表はもう一段の規制緩和を求めた。現状の厳しい車検制度の下では米国製の部品が利用されにくいため,米国は以前から規制緩和を求めていた。
また次席代表は,港湾運送事業の規制緩和も要請。運輸政策審議会が昨年12月に港湾運送に関する中間報告を出し,主要港における新規参入などでの規制緩和を打ち出したが,次席代表はまだ米国側から見ると不十分との見解を示したという。(共同通信経済ニュース速報,1月27日付)
政府は2月2日,経済団体など関係機関から寄せられた1683項目の規制緩和の要望について,各省庁がどのように取り組むかを尋ね,その回答結果をまとめた。タクシーなど営業用自動車の車検有効期限を延長するなど全体の4分の1にあたる455項目は実施する方向だ。
しかし,運転免許証の更新期限の延長など3分の1の586項目の要望については,実施が困難という回答だった。政府の規制緩和委員会(委員長・宮内義彦オリックス社長)は今後,実施が難しいとされた項目の中に規制緩和が可能なものがないかどうか,各省庁にさらに検討を求めていく考えだ。
トラックやタクシーなど営業用自動車の車検の有効期限は現在は1年だが,これを延長してほしいという要望が出ていた。これに対し,運輸省は「今年度中に具体的な結論を得て実施する」と前向きな回答をした。女性の社会進出に伴い低年齢児の保育サービスの拡大が求められていることについて,厚生省は「受け入れ枠を拡大した」と答えた。NTT再編により誕生する東西の地域会社の間で競争を促すことには,郵政省は「実質的な競争を実現するための有効な措置を講じる」と前向きに検討する考えを示した。
一方,運転免許証について,現在は有効期間が終わったあと,1カ月以内に更新しなければならないが,これをさらに3カ月に拡大してほしいとの要望も出ていた。しかし,警察庁は「時間の経過によって安全運転に必要な知識が低下する」との理由から「困難」と回答。自動車登録の手続きでも印鑑証明書の代わりに住民票などを使用することについて,運輸省は「偽造の恐れがある」と難色を示した。政府の規制緩和委員会は,省庁側が「困難」,または「検討中」と回答した項目のなかで,1998年度からの規制緩和に向けた3カ年計画に盛り込めるよう引き続き要請を強める方針だ。(2月2日,朝日新聞ニュース速報より)
運輸省は1月18日,以下の対象事項について,現在までの検討状況を中間公表した。
(1) 総務庁及び行政改革推進本部規制緩和委員会に寄せられた内外の意見要望等(平成10年10月末受付分まで)
(2) 運輸省において把握した意見・要望(平成10年11月30日受付分まで)
(3) 行政改革推進本部規制緩和委員会の第1次見解(平成10年12月15日)
運輸省は,今後,これら意見・要望事項等に対しさらに検討を加え,本年度末の規制緩和推進3カ年計画の改定に積極的に反映させていくこととしている。運輸省がこれまでに把握している内外の意見・要望135件のうち,措置予定の16件の中には「自動車検査証の有効期間の延長」,「自動車の法定点検(点検項目,点検時期)の見直し」などが盛り込まれている。
運輸省からのプレス資料,「個別の規制緩和意見・要望及びその検討状況」中の検査・整備に関する主なものは「資料1」のとおり。
東京都は,電気自動車やガソリン・電気併用のハイブリッド車などの低公害車は,新規登録時の自動車税を平成11年4月から最大で現行の半額に引き下げる方針を決めた。
軽減の対象となるのは,初度登録日が平成11年度から平成13年度までの間であるクリーンエネルギー車及び低公害車で,初度登録年度の翌年度から3年間にわたり自動車税の軽減措置が行われる。
一方,新車登録から10年を超える自動車(バスにあっては13年)に対し,平成13年度から16年度まで一律10%の超過課税が行われる。
「自動車税に係る超過不均一課税(案)の概要」は「資料2」のとおり。
ワンボックスカーに簡易キャンピング設備を付けるなどし,特種用途車(8ナンバー)として車籍登録した後,設備を取り外して税金をごまかす手口が急増していることが2月4日,自動車整備業者らの話で分かった。8ナンバー車は,地方税の自動車税などが一般の乗用車より安い点に目を付けたもので,8ナンバー登録の専門業者も出現。都道府県の税務責任者らの連絡団体「全国地方税務協議会」は「実際は乗用車と変わらず,税に著しい不公平が生じている」として,税率の見直しなどを各自治体に提言した。
特種用途車は,用途が限られているうえ,使用頻度も少ないとの理由で,自動車税や重量税などの税額が低く抑えられている。任意保険の保険料も安く,維持費を総計すると年間20万〜30万円も節約できる。
税金逃れの手口で最も多いとみられるのは「キャンピング車」登録。道路運送車両法の定義に即して,固定ベッドや水道,調理設備をワンボックスカーやRV車(レジャー用多目的車)に設置して車検を受け,8ナンバーを取った後,設備を取り外す。また,車内の半分以上がアンプとスピーカーで占められ,車外に放送できる設備を必要とする「放送宣伝車」登録を利用するケースも多い。
運輸省の統計では,全国のキャンピング車の登録台数は,1992年度末の3万7133台から,98年度末には23万1367台へ6倍以上に急増。放送宣伝車も5154台から3万6116台に増えている。
税金や任意保険が安くなる点に注目した自動車販売業者などが,キャンピング車用の簡易キットを販売するようになったことや,アウトドアブームが増加の背景にあるが,業者の一人は「2年ほど前から取り外しの依頼が急増した。違法だと説明しても,やってくれと言われる」。別の業者も「年間200台くらいやっている」などと,取り外しの横行を証言する。
構造変更をした場合,15日以内に陸運支局に届け出なければならないが「次の車検前に元に戻すので,ばれない」(業者)という。
一方,全国地方税務協議会は昨年6月,検討委員会を設置して全国の自動車税率などについて分析。「一定の課税水準に統一するのが望ましい」との検討結果を先月,各都道府県に通知した。大阪府や東京都は3年前から,キャンピング車の自動車税を一般乗用車並みの税率に近づける経過措置をスタートさせている。
運輸省は「そうした手口のうわさは聞いたことがあるが,登録時に合致していれば交付せざるをえない」としている。
「簡単に設備を着脱できる車が登録できたり,税額を低くしている法律がおかしい」。8ナンバー車(特種用途車)の車籍登録後の設備取り外しの実態を証言した大阪府内の自動車整備業者らは口々に,道路運送車両法や地方税法の不備を指摘する。
◆契機は日米協議
「異常な増加の呼び水になった」。関係者が8ナンバー車急増の理由として口をそろえるのが,日米構造協議に基づく1995年末の規制緩和だ。一定の基準で改造車の車検が認められ,販売業者が次々と新商品の開発に取り組んだ。
通常のRV車(レジャー用多目的車)にキャンピング設備を備えた特別仕様車も,その一つ。「浮いたお金でパーツを購入しよう」などと,税金や任意保険が安くなることも宣伝され,なじみの薄かった8ナンバーが,実は簡単に取れることが知れ渡って,爆発的に広がった。
◆相次ぐ改造依頼
大阪府内の8ナンバー車は昨年度末,6年前より約4万2000台も増え,約15万6300台に達した。増加分の6割は「キャンピング車」と「放送宣伝車」。昨年1年間に200台近くの改造,登録をしたという業者は「取り外しの依頼は相次いでおり,その都度,取り外している。責任を負うのはユーザーやし」と話す。
◆格差是正へ
大阪府がいち早く,キャンピング車の税率引き上げに乗り出したきっかけは,市民からの「おかしい」という指摘。使用状況の実態調査をした府税務課職員は,パチンコ店やショッピングセンターなど,キャンプとは無関係な街中に止められたキャンピング車を確認してうめいた。「これじゃあ,普通の乗用車と変わらないじゃないか」
府は,キャンピング車にかかる自動車税の税率を3年間で段階的に引き上げることを決め,条例を一部改正した。99年度に普通の乗用車並みになる。これに対し運輸省は「用途は関係ない。税の問題は管轄外」と強調する。
◆特種用途車
「緊急用」や「建設土木用」「サービス用」など約20用途に分類。さらに「警察車」「霊柩(れいきゅう)車」「キャンピング車」など約150の種別に分かれ,それぞれ「構造要件」が定められている。除雪車,ボートトレーラーなど,車種によって地域差があるため,自動車税などは各都道府県が独自に税率を設定するよう地方税法で規定されている。「使用頻度が少なく事故が少ない」との理由で,任意保険の保険料も安い。
◆吉田和男・京都大経済学部教授(公共経済学)の話
普通の乗用車として使用されているなら,乗用車並みに課税するのは当然。地域間特性のないキャンピングカーの税額に自治体により格差が生じているのもおかしいが,税額を上げるだけでなく,登録の仕方で課税逃れを許してしまう法律の問題点も,この際見直してはどうか。
ドイツの車検機関であるドイツ技術検査協会は2月2日,「総合評価で日本車の欠陥が一番少ない」とする1999年度自動車報告を発表した。
計304万台の中古車を調べた結果,3年,5年,7年,9年,11年の5部門のうち11年を除く4部門でトヨタ自動車やスバルなど日本車が上位を占めた。
例えば,3年中古ではスバル・レガシーが1位,続いてトヨタ自動車のカリーナ。3位は97年秋のエルヒテスト(障害物回避テスト)で横転,3カ月の販売停止に追い込まれたダイムラークライスラーのミニベンツ「Aクラス」。
11年中古ではポルシェの911の欠陥率が一番低かった。古くなると,ドイツが底力を発揮するようだ。
反対に欠陥が多いと判定されたのは英ローバー,フランスのシトロエン,ロシアのラーダ,スペインのセアト,チェコのシュコダなど。(2月2日,共同通信経済ニュース速報より)
日本自動車タイヤ協会は,警察,関係団体等と協力し,1998年(1〜12月)に118回の路上タイヤ点検を実施し,その結果を発表した。
高速道路4,595台,一般道路7,770台の合計12,365台の車両のタイヤ点検結果は,整備不良が1,583台,不良率12.8%となった。
整備状況では,不良率1位は「タイヤ溝不足」で5.9%,次いで「異常摩耗」3.5%,「空気圧不足」2.2%となっており,「タイヤ溝不足」がワースト1位となっている。
車両グループ別では,不良率ワースト1位は「特種車」で20.8%,次いで「貨物車」17.0%,「乗用車」9.7%の順となっている。
車両グループ別・項目別ワースト1位は「タイヤ溝不足」で,乗用車は3.6%,貨物車は9.2%,特種車は8.8%となっている。
1998年「タイヤ点検結果」の報告は「資料3」のとおり。
運輸省は2月3日,営業用普通トラックの昨年10月末時点の全国保有台数が,1965年ごろの調査開始以来,初めて前年同月を下回ったと発表した。同省は「トラック輸送の需要が減り,回復の見通しも立たないとして,保有車両を減らす事業者が増えてきた」(運輸政策局)と分析している。
調査によると,営業用普通トラックの保有台数は98年10月末現在,約88万6000台で,97年10月の約88万7700台より0.2%減った。60,70年代の高度成長期は10−15%の伸び率を記録。74年ごろから5%前後で安定し,バブル経済崩壊後も数%ずつ増えていたが,景気低迷の影響を受け,初めて減少した。
普通トラックの寿命(新規登録から廃車までの平均使用年数)は約10年間だが,調査ではわずかずつ伸びているといい「古い車両をなるべく維持し,新車に買い替えない傾向も見られる」(同)という。
軽トラックは91年7月から,自家用普通トラックも98年3月から,それぞれ保有台数が前年同月に比べ減少に転じている。乗用車と2輪車を含めた自動車全体の保有台数は1%強の微増を続けている。(2月3日,共同通信経済ニュース速報)