1.日米,通商6分野で火花,自動車・同部品などに「重大な懸念」を表明 |
2.「運輸関連企業動向調査」景況感,前回より明るい見通し |
3.春の叙勲・褒賞,高橋恒男副会長が勲五等瑞宝章,岡部二郎氏,小田島義信氏が黄綬褒章を受章 |
4.関東運輸局,ユーザー意識調査,点検整備「必要」が9割,日常点検女性の6割近くが「しない」 |
米通商代表部(USTR)は4月30日,米包括貿易法スーパー301条(不公正貿易国と行為の特定・制裁)報告で保険,自動車・同部品などに「重大な懸念」を表明した。今後本格化する6分野の日米通商交渉で火花が散ることになる。
【保険】日米合意では,がん保険など米保険会社に強みがある「第三分野」保険を2001年から日本の保険会社に解禁する段取りになっている。米政府は,保険市場の規制緩和措置が不十分で,解禁条件が守られていないと主張。日本側は,解禁の先延ばしを狙った米側主張は「規制緩和に逆行する」と反発する。4月再開の協議でも双方の主張は平行線のまま。米側は今夏に再協議を要請しているが,打開の糸口は見えず「最後は世界貿易機関(WTO)の紛争処理にもつれ込む」(交渉筋)との声も出ている。
【自動車・同部品】1995年の日米自動車協定の柱は(1)外車ディーラー網整備などで自動車の対日輸出増加(2)日本メーカーの米国製部品調達拡大(3)車検などの規制緩和で補修部品市場を開放―など。しかし,成果があったのは部品調達だけ。日本の景気低迷により外車販売は伸びず,外国製補修部品も売れないため,米側は一層の規制緩和を求めていく構えだ。
【板ガラス】米政府は日本の板ガラス流通がメーカーの系列で支配されていることが「競争制限的だ」と主張,公正取引委員会が近く公表する調査結果を注視する。調査で独占禁止法に触れる行為が発覚すれば,米側は一気に流通制度の改善を迫る構えだ。今後,両国政府と民間による官民会議を設置し,流通制度の改善などを話し合う。
【鉄鋼】米政府は,日本からの輸入が97年水準まで減らない場合,米通商法201条(輸入急増に対する保護)に基づく緊急輸入制限を発動する方針。主力製品の熱延鋼板は,米商務省が日本製品のダンピング(不当廉売)で「クロ」の 本決定を下し,米国際貿易委員会(ITC)の被害認定本決定を待つ段階。造船などに使う厚板でもダンピング調査している。こうした措置で日本からの輸入は昨年11月から大幅な減少に転じた。この傾向が定着するかどうか,米側は今後も対日圧力をかけながら監視を続ける。
【建設】米政府は,景気対策で日本の公共事業が急増したにもかかわらず,米業界の建設市場シェアが落ち込んでいることに不満を持つ。設計分野の規制緩和や,大型工事などを複数の企業が共同で行うジョイントベンチャーに外国企業が参入しやすいよう条件整備を求めており,7月の協議で決着を目指す。
【コンピューター】日本政府が調達するコンピューターのうち,外国製品が占める比率が低下していることに不満を表明。(1)入札に関する情報を事前に公開して透明性を高める(2)価格だけでなく,性能なども加味して選定する―などを求めている。(5月1日付,共同通信ニュース速報より)
運輸省がまとめた「運輸関連企業景気動向調査」(3月1日時点)の結果によると,景況感が「悪い」と回答した事業者は91.6%で,前回調査(98年9月1日時点)よりも1.3ポイント改善する一方,「良い」との回答も0.9ポイント増加し,1.6%となった。
業種別では,自動車整備業で「悪い」は12.2ポイント減の68.0%となり,「良い」も前回の0%から12.0%に増加した。
この調査は,運輸関連企業における景況感と経営動向を把握する狙いで毎年実施しているもので,今回はバス,ハイヤー/タクシー,トラック運送,自動車整備など17業種の423社から有効回答を得た。
自動車関連業界における最近の景況感では,トラック業の97.4%,ハイ/タク業の100%,整備業の68.0%が「悪い」と回答。
98年度の売上高に対する99年度の見通しでは,全運輸関連業種で54.8%が「悪化する」と見ているものの,自動車関連業種ではすべて,前回調査よりも明るい見通しをもっている。
雇用環境については,トラック業の42.1%,整備業の36.0%が「過剰」と判断しているが,ハイ/タクでは逆に,73.3%が「不足」と回答している。
金融機関の貸し出し態度に関する調査では,全業界の中で整備業だけが「ゆるい」と「厳しい」が同数(16.0%)で,他業種はすべて「厳しい」との回答が上回った。
長年にわたり,業界振興と発展のために尽力されてこられた方々におくられる「平成11年春の叙勲伝達式」が去る5月10日(月),運輸省共用大会議室において執り行われた。東整振関係からは,高橋恒男副会長が勲五等瑞宝章の栄に浴された。
また,5月13日(木)には,「褒章伝達式」が運輸省共用大会議室において執り行われ,本会から岡部二郎氏(大田支部),小田島義信氏(大田支部)の両名が黄綬褒章の栄に輝いた。
◆春の叙勲
勲五等瑞宝章
高橋恒男(副会長) (有)高橋自動車分解整備工場(八王子支部)
◆春の褒章
黄綬褒章
岡部二郎(理事) 京浜自動車協業組合(大田支部)
小田島義信(元理事) (株)小田島自動車(大田支部)
関東運輸局では,自動車の維持管理に対するユーザーの意識と実態に関する調査結果をまとめた。
この調査は,昨年の自動車点検整備推進運動期間中である9月1日〜10月31日までの2カ月間に,関東運輸局管内の17会場で開催した「自動車点検整備推進デー」に来場した約22万人のうち2,106人(男性1,272人,女性834人)に会場でアンケートを実施したもの。
「自分の車の維持・管理について,あなた自身が責任を負うべきだと思いますか」では,全体の95.5%の人が「追うべきだと思う」と回答した。また,「車の点検整備の必要性があると思いますか」では,90.2%の人が「必要」と回答,整備の依頼先では,全体の74.7%が「決まった整備工場に出す」と回答し,「決まった工場ではないが整備工場に出す」は11.8%で,これを足すと全体の86.5%が,自分の車を整備工場に依頼していることとなる。
「点検・整備 ユーザーの保守管理意識と実態(日刊自動車新聞記事)」は,「資料1」のとおり。