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2021/01/01最近の話題

令和3年 年頭所感 片山守会長理事長



あけましておめでとうございます。
令和3年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

昨年、世界を覆ったコロナ禍は、わが国国内では昨年1月に初めて感染が確認された後、10月に累計感染者数が10万人を超えたほか、11月には全世界の累計感染者数が6,000万人を超えるなど、1年が経過した今なお収束が見通せない状況が続いております。治療薬やワクチンの登場が待たれるなか、医療の現場で今も懸命に処置にあたられている医療従事者の皆様の、献身的なご活躍に感謝申し上げますとともに、罹患された方々の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。

コロナ禍による人の往来とモノの流通の途絶が経済に与えた影響は大きく、とりわけ4-6月期のGDPはわが国の年率28.1%減をはじめ、欧米においても軒並み30%以上の減少と戦後最悪レベルを示しました。その後7-9月期のGDPは年率21.4%まで回復したものの、政府支出や公共投資による押上効果も大きく、予断を許さない状況にあります。また、コロナ禍の影響による解雇や雇止め、いわゆる「コロナ失職」は昨年11月には7万人を超えるなど、雇用への打撃は深刻であり、個人消費への影響も懸念されます。政府には引き続き手厚い支援策の実施に努めていただきたいところです。

本年は、昨年開催が延期されました東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が予定されております。選手や大会関係者の安全な人員輸送にあたり、自動車の安全確保は我々自動車整備事業者が担う責務であります。自動車の安全確保を通じて大会の成功に貢献することで業界の認知・評価の向上に繋がるものと考えます。

国内外の自動車メーカー各社によって、HVをはじめとした新型電動車が相次いで市場投入されており、温室効果ガス排出量削減のための一手段として、自動車の電動化の潮流は世界的かつ確実なものとなりつつあります。英国では2030年までにHVを含む内燃機関搭載車の新車販売を禁止すると発表しました。加えて中国では2035年までに全体需要の50%を電動車にすることとしているほか、米カリフォルニア州においても同年までに内燃機関搭載車の新車販売を禁止するとの方針が示されています。昨年末の報道によりますと、わが国においてもガソリン車の新車販売を2030年代半ばまでに禁止する方向で最終調整が進められております。かつて石炭から石油へとエネルギー革命がなされたように、自動車の動力機関においても転換期が着々と近づいております。

昨年4月には改正道路運送車両法が施行され、特定整備認証がスタートしました。認証基準の説明会や整備主任者資格取得講習等、会員組合員事業場の皆様が認証申請の準備を進めていくための諸事業にあっても、コロナ禍の影響により開催の延期や規模の縮小等を余儀なくされ、ご不便を強いる形となってしまいました。本年、これら事業の実施にあたっては、感染動向を注視しながらの対応となってしまいますが、引き続き感染防止策を講じつつ、認証申請の支援に資するべく精力的に取り組んでまいります。

加えて昨年11月には、国土交通省によってレベル3自動運行装置を備える自動車の型式指定がなされました。レベル3自動運行装置の型式指定ならびに量産市販車への搭載は本件が世界初の案件であり、自動運転車の普及に向けた環境整備が進みつつあるなか、その第一歩がしっかりと踏み出された大変意義深い事例と言えます。レベル3以上の自動運行装置を備える自動車が広く世間に普及するまでには、しばらく時間を要するものと思われます。しかしながら、安全運行のための取組みとして点検整備の確実な実施がこれまで以上に求められるとともに、我々自動車整備事業者に対して求められる役割や技術力もより高いものとなっていくことは明白であり、早急に対応すべき課題であります。

東整振におきましては、低圧の電気装置に関する基礎知識や電動車の整備技能の修得支援事業として、事業主が電動車の整備作業に使役するにあたり実施が求められる安全衛生教育の開催に引き続き努めていくとともに、電子制御装置の整備技能に加え、来る令和6年に導入が予定されているOBD検査に対応し得るスキャンツールを活用した高度な故障診断技術の修得支援等を通じて、電子化が進む自動車技術への対応力強化を図ってまいります。

また、本年は本来であれば「第23回全日本自動車整備技能競技大会」が自動車整備業界最大のイベントとして華々しく催され、日頃の技術練磨の成果が遺憾なく発揮されるところであります。しかしながら新型コロナウイルス感染症の感染動向を鑑み、令和4年秋に時期を改めての開催となりますことは、整備技能日本一を目指し日々の業務に精励されておられる自動車整備士諸氏を思うと残念でなりません。図らずも本年は雌伏の年となってしまいますが、高みに達するための準備期間としていただき、来る全国大会において存分に腕を振るっていただきたいと思います。

昨年9月に組閣された菅内閣では、デジタル庁の設立や脱ハンコをはじめとした行政手続きのデジタル化といったDXへの対応を大きく打ち出しており、健康保険証や自動車運転免許証のマイナンバーカードとの一体化について準備が進みつつあることはご承知の通りです。「出社しなければならない状況を減らしたい」というコロナ禍で生じたニーズに応えるとともに、業務効率化にも寄与することから、民間では早くも社内の決裁や取引先との契約を電子化する企業も増えております。自動車の分野においても、販売の現場ではオンライン商談を活用しているケースも見受けられるほか、車検証の電子化や自動車検査登録事務所への出頭を経ずに車検証有効期間の更新が可能となるゼロストップサービス(ZSS)、OBD検査の導入など、デジタル化の進展に向けた制度改正について従前より制度設計が進められております。自動車の安全確保に加え自動車ユーザーの利便向上、自動車整備事業者の業務効率化と様々な効能が期待できるこれら諸制度への対応について、東整振・都整商ではいち早い情報収集・伝達や整備システムの斡旋強化等、両団体が連携して会員組合員事業場の皆様の業務支援に努めてまいります。

平成31年4月以降、長時間労働の是正等を目的に「働き方改革関連法」が順次施行されており、待遇の改善や多様な働き方への対応は、整備人材の不足が指摘されている自動車整備業界では、高度に電子化された自動車の整備技能の修得とともに差し迫った課題であります。都整商におきましては、昨年12月より共済制度にご加入いただいております組合員事業場を対象として、カウンセリングを含むメンタルヘルスケアサービスを導入致しました。従業員の皆様への福利厚生の充実は、選ばれる職場づくりの不可欠な構成要素のひとつであります。自動車整備業賠償共済保険の加入促進とともに、オアシス生命共済制度や特定退職金共済制度といった共済制度のこれまで以上の加入促進を通じて、購販事業の推進とともに組合員の皆様の事業活性化の一助となるべく鋭意努力してまいります。

自動車ユーザーの消費性向は、ここ10年ほどで環境性能と安全性が重視される形へと変化してまいりました。本年11月以降に製作される新型車にあっては、衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務化されるなど、消費性向と協調するように自動車を取り巻く法令や環境は変化しております。東整振・都整商といたしましては、委員会組織を活用し、専門性の高い部門別の検討を進めていくことで、このような時代の変化に対応していくとともに、両団体が一体となって会員組合員の皆様への業務支援、業界の活性化に努め、組織を運営してまいります。

結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

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