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2025/01/01最近の話題

令和7年 年頭所感 舟橋会長理事長



新年明けましておめでとうございます。
令和7年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶申し上げます。
昨年の日本列島は数多くの自然災害に見舞われ、国民生活に大きな影響を及ぼしました。昨今、自然災害の激甚化・頻発化が指摘されておりますが、取り分け1月に発生した能登半島地震では、一時は最大で4万人以上が避難するなど石川県能登地方を中心に甚大な被害が生じました。加えて9月に発生した令和6年奥能登豪雨では、地震の被害が癒える間もなく更なる被害が発生しました。能登半島地震および令和6年奥能登豪雨により被災した方々に対し、お見舞い申し上げますとともに一日も早い復興をお祈り申し上げます。

日米の金利差を背景とした通貨安に加え、コロナ禍からの社会経済活動の回復に伴う需要増や地政学的要因による原油価格や輸入物価の上昇を契機として、令和3年以降は物価上昇が顕著であり、それまで長く続いたデフレ期から脱却し、物価と賃金が相互に上昇するインフレ期に転じました。日銀では、昨年3月の金融政策決定会合においてマイナス金利政策を解除し17年ぶりに長期金利を利上げしたほか、日経平均株価にあっては一時バブル期を超える史上初の4万円台に達するなど、わが国経済は新たな局面を迎えました。一方で、消費者物価指数の上昇速度が名目賃金指数の上昇速度を上回る状況が続き、昨年6月に前年同月比プラスに転じるまで、実質賃金は過去最長となる26カ月連続でのマイナスを示しました。厚生労働省によると、令和6年春闘での主要企業の賃上げ率は33年ぶりの高水準となる5.33%に達しましたが、持続的な経済成長の実現に向けては、今後もこれに類する水準での構造的で持続的な賃上げが必要なことは明らかです。わが業界においても労務費の適切な価格転嫁を進め、事業の発展と従業員の処遇改善を持続していくことが求められます。
自動車の分野に視線を転じてみますと、昨年はわが国を代表するIT・エレクトロニクス産業等によるデジタルイノベーションの総合展である「CEATEC」との初の併催による「ジャパンモビリティショービズウィーク2024」が催されました。自動車メーカー各社のほか、スタートアップ企業145社を含む203社の出展によるビジネスイベントとして開催され、4日間の会期中に848件のマッチングが成立するなど好評のうちに閉幕しました。単に車両や周辺サービスに留まらない未来のモビリティ社会を担う新たな商品・サービスの萌芽が確認できた大変意義のある催しでした。

また、昨年10月にはここ数年来の懸念事項であったOBD検査の運用が開始されました。OBD検査では令和3年10月以降に製作された新型車を対象として、目に見えない電子制御装置の不具合の有無を検査します。自動車の安全・安心の確保にあたり、自動運転技術をはじめとした電子制御技術の普及・発展が目覚ましい現代において必要不可欠な検査項目であると言えます。広く入庫機会が生じる状況になるまでには数年の猶予がありますが、今後も自動車の安全・安心を確保していくには、質の高いサービスの提供と正当な対価の獲得による健全な事業経営が求められます。今般のOBD検査の運用開始は、診断サービスの一般化ならびにレバーレートの見直しや、診断料金の設定・収受を進めて行く契機といえます。引き続き技術力を高めていくとともに、自動車ユーザーに対してはOBD検査と故障診断技術の必要性と重要性、高度な専門性の周知に努めていかなければなりません。
自動車と自動車整備事業を取り巻くデジタル化は着々と進行しており、令和5年1月の登録自動車を皮切りに、昨年1月からは軽自動車においても電子車検証の交付が開始されました。電子車検証を備える車両の車検入庫については、貨物車を中心としてすでに日々の業務で対応されていることと思います。本年からはいよいよ都内保有台数440万台余のうち6割近くを占める乗用車の車検入庫が本格化してまいります。継続検査OSSや保適証サービス、特定記録等事務代行制度といったデジタル化施策は、業務効率改善に向け、今後取り入れるべきツールであるといえます。東整振・都整商では、これら諸制度の導入支援ならびに日整連との連携強化を通じて会員組合員事業場のデジタル化対応を支援してまいります。

昨年は残念ながら自動車メーカーによる認証不正や一部の事業者による不正車検など、消費者の自動車に対する信頼を揺るがすような不正事案が一度ならず発生しました。われわれ自動車整備事業者の商いの基本は技術と信頼です。いずれも一朝一夕で成るものではなく、絶えず自動車整備技能の練磨に励むとともに法令を遵守し、誠実な商いに努めていかなければなりません。指定整備事業適正化対策研修会の開催や巡回相談の実施、法定研修等の機会を捉えた啓発等を通じて更なる遵法意識の醸成に努めていくとともに、チェック機能を有する保適証サービスの活用促進等を通じて業界の健全な発展に努めてまいります。
令和6年4月時点の都内での電子制御装置整備認証の取得率は、認証工場で55%、指定工場が96%程度となっており、半数近くの事業場が未取得の状況で特定整備認証制度の本格運用開始を迎えました。未取得事業場では経営者自身の高齢化に加えて整備要員の高齢化が進行しており、特に23区内ではその傾向が顕著であります。東整振・都整商では、クルマ社会の安全・安心を担う自動車整備事業者の団体として、両団体が連携して整備難民が生じることのないよう、会員組合員事業場の対応を継続して支援してまいります。
結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

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