あけましておめでとうございます。
平成26年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
わが国の経済状況を見ますと、平成24年に発足した現政権による経済政策の効果により、長年にわたり日本経済を苦しめてきた「デフレ」からの脱却に向け流れが変わりつつあるなかで、自動車産業においては、円安に伴う為替の恩恵などにより業績の回復が続いています。しかし、4月以降に実施される消費税率の引き上げや、エネルギー資源の高騰、TPPを始めとする経済連携協定の動向も不透明な状況にあり、経済の回復は引き続き予断を許さない状態にあります。
全国の自動車保有台数は、平成25年3月末現在で7,962万台となり、一昨年に比べ約51万台増加し、2年連続して増加するとともに過去最高となりましたが、東京においては平成9年を頂点に減少傾向が続いております。また、エコカー減税などに伴う自動車重量税及び自動車取得税の減免など、政府による経済活性化策とともに自動車ユーザーの環境意識の向上、省燃費への要望から、ハイブリッド車をはじめとする環境対応車や高い燃費性能を有する軽自動車などの販売に占める割合が増加し普及が急速に進んでおります。
これらの車両は、高度な電子制御技術により、環境性能を発揮することをはじめ、人間の目に代わるカメラやセンサー類によってドライバーや同乗者の安全確保を行う衝突被害軽減ブレーキなどが搭載されるなど、これまでの自動車には見られなかった技術が集積されてきております。
総じて、自動車整備事業場において点検整備を行うためには、スキャンツールによる高度な故障診断技術が必要不可欠なものとなり、今後は機器の導入はもとより、活用の診断技術の習得が急がれるところです。
現在、国土交通省においても、汎用スキャンツール標準仕様の策定、自動車整備士資格要件の検討をはじめ、省エネ型ロジスティクス等推進事業費補助金など、自動車整備事業者が機器を導入するための助成制度を創設するなど、スキャンツールの活用促進や整備要員の技術向上に対し積極的な支援策が実施されております。
東整振におきましても、昨年度より事業が開始されたスキャンツール活用事業場認定制度の全国展開を受け、基本研修会並びに応用研修会の開催を拡充していくとともに、スキャンツールを活用するために欠かすことのできない、自動車整備技術の情報源「FAINES」の利用促進をはじめ、ハイブリッド車、電気自動車などを対象としたディーラー別研修会の開催、労働安全衛生法に規定された低圧電気取扱い業務に係る特別教育講習会など、新しい技術に対応した自動車整備技術の向上対策も積極的に展開していく予定としています。
また、昨年は自動車整備業界で最大のイベントである「第19回全日本自動車整備技能競技大会」が開催され、当会においても「第14回東京都自動車整備技能競技大会」を開催し、東京代表チームを選抜して全国大会に挑みました。
結果は惜しくも上位入賞には至りませんでしたが、関係者の皆様をはじめ、業務多用のところ会場まで応援にお越しいただいた皆さまに改めてお礼を申し上げます。
東整振は一般社団法人へ移行してまもなく1年が過ぎようとしています。
平成25年度におきましては、法令に基づく会議の運営など、意思決定の見直しを図るとともに、組織のスリム化により活性化を促し、新しい組織づくりに即した会務の運営に尽力してまいりました。
平成26年度は、教育委員会、事業指導委員会などの委員会組織を再編し、専門性の高い部門別の検討事項について審議してまいりたいと思います。また、自動車整備業界の課題である法令遵守への対応としましては、特に、自動車整備業の社会的地位の向上のために必要となる指定自動車整備事業の適正化を促すため、昨年10月に事務局に適正化事業室を新設しました。
今後は、指定自動車整備事業者の研修会や会員事業場への巡回相談等を積極的に実施することで、事業者の意識向上と更なる適正化に取り組んでいくこととしております。
一方、都整商におきましては、インターネットの普及による部品用品などの商体系が変化したことや、主幹事業の一つでありました自動車整備近代化資金事業が平成30年度に終了することなどから、今後の事業のあり方や運営方法などについて「都整商あり方検討会」を発足させ検討を重ねてまいりました。
昨年、当検討会より組織の活性化や経済事業に特化した委員会の設置などを内容とした第二次提言が提出されたことから、今後はこの提言を念頭に、事業委員会、金融委員会などの委員会組織を再編成し、事業の活性化に取り組んでいくとともに、提言の具体化に向けた取り組みを進めていくこととしております。
自動車整備業界は、技術面をはじめ法制税制など、刻々と変化を遂げる中にあります。このような変化に適切に取り組んでいくとともに、両団体の一層の効率化と更なる業界の活性化に努め組織を運営してまいる所存です。結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。