~ブレーキ装置の整備不良による事故件数は741件中128 件(平成22年)~
国土交通省の「使用過程車の保守管理に関する調査分析検討会」では、整備不良が原因となった事故の中で「ブレーキ装置の整備不良」に関する事故が全体の約2割と多い実態を受け、今般、ブレーキ装置の不具合状態を再現する実験などを実施し、結果を公表しました。
なお同省では、この実験によりブレーキ装置の整備不良によりブレーキ液の劣化や漏れが発生し、自動車の停止距離が長くなることなど、ブレーキ性能への影響が確認されましたため、定期的にブレーキの点検整備を行っていない自動車ユーザーに対して、注意喚起することとしています。
ブレーキ装置のメンテナンスを怠ったことによるブレーキ性能への影響について (1)ブレーキ装置整備不良状態での再現実験 再現実験により、主に以下のようなブレーキ性能への影響等について確認した。(詳細)
・相当の期間交換していないこと等によりブレーキ液の沸点が122℃まで低下した事例が認められたことから、ブレーキ液の沸点が約110℃まで低下した場合を想定して実験を行い、約16分でベーパーロックが発生することを確認。
・車齢9年で適切な点検が実施されていなかったこと等によりブレーキホースが破断した事例が認められたことから、ブレーキホースから液漏れが発生した場合を想定して実験を行い、高速走行状態では停止距離が約60%(約90mから約150mまで)増加することを確認。 (2)ユーザーへの注意喚起に係るポイント 上記を踏まえ、以下のとおりユーザーへの提言のポイントをまとめた。 【ユーザーへの注意喚起のポイント】 (1) ブレーキ液が劣化している状態では沸点が下がるため、ブレーキを連続使用すると、ベーパーロックが発生する確率が高まり、最悪の場合、停止距離が長くなるおそれがある。
(2) ブレーキホースやパイプ、ホイール・シリンダ等についても、点検整備を実施しないで走行を続けると、液漏れ等の発生によりブレーキの効きが悪くなるおそれがある。
(3) ブレーキ液は、一定の期間ごとに交換が必要となるので、メーカーが車両毎に推奨する交換時期を参考に、整備工場等で交換を実施する必要がある。
(4) ブレーキホースやパイプ、ホイール・シリンダ等についても、液漏れや亀裂等が発生していないか確認するため、定期点検を実施する必要がある。 |
【参考】
■ブレーキ装置のメンテナンスにより事故を未然に防ぎましょう(国土交通省ホームページ)
■ブレーキ装置のメンテナンスを怠ったことによるブレーキ性能への影響について
■劣化によるブレーキ性能の低下にかかる再現実験