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2012/01/01最近の話題

平成24年 年頭所感 坂本浅喜與会長理事長

                                        



 
 
 平成24年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

 昨年3月11日に発生した東日本大震災は、日本国内における観測史上最大の地震と沿岸部の広範囲にわたる津波により、多数の死傷者を伴う甚大な被害をもたらしました。加えて、各地で台風や集中豪雨の被害が多発し、海外においてはタイ国で大規模な洪水が発生するなど自然の脅威を痛感した1年でありました。
 さらに、世界経済を取り巻く状況としては、米国の景気減速に加え、EU諸国では、ギリシャの債務問題に端を発した深刻な信用不安を招いており、これら諸国を中心とした輸出に依存している日本の自動車産業の状況は、以前にも増して厳しいものとなっています。

 また、日本国内における自動車の流通に目を向けると、平成23年3月末の全国における自動車保有台数は、一昨年に比べ約3万3千台減少して7,867万台となり、かつて「年間200万台」の増加を続けてきた自動車保有台数は、平成19年をピークに4年連続して減少を続けています。
 さらに、乗用車の平均車齢は7.74年と19年連続で高齢化を続けており、このことは長引く景気の悪化による新車販売の減少と自動車の長期使用化がさらに進んだことが影響したと分析されております。


 日整連では、これらの状況を鑑み、長期使用車両の安全性確保及び点検整備の重要性について、自動車ユーザーへの浸透と近年増加傾向にある長期使用車両に対応するため「長期使用車両の整備事業者向け実施マニュアル」を作成しました。
 長期使用車にあっては、「想定される以上の故障」が発生する可能性もあり、同マニュアルでは、発生する可能性が高い故障や不具合を未然に防ぐための「業界推奨点検項目」を設定するとともに、環境、燃費、安全などの面で必要とされる点検個所や部品交換の必要性などを訴えかけるものとなっています。当会においても、このマニュアルを活用し、使用年数が長期化している低年式車両の点検整備を確実に実施していくための取り組みを実施してまいります。

 また、当会では、東日本大震災における被災地の状況を鑑み、昨年の5月と12月の二次にわたり、現地自動車整備事業者の復興支援を行うため、義援金並びに緊急支援物資の贈呈を行ってまいりました。
 被災地の復興状況は依然として先行きの見えない状況が続いており、完全な回復を遂げるためには、今後長い期間を要することになると思われます。当会といたしましても、被災された方々への一助となるよう、できる限りの支援を行ってまいりたいと存じます。
  
 

 昨年末、政府は「平成24年度税制改正大綱」を閣議決定しました。
 現行の自動車関係諸税にあっては、9種類もの税が課せられており、自動車の使用者は過度の税負担を強いられていることから、自動車整備業界としても、自動車にかかる税負担の見直しを長年にわたり要望してまいりました。
 大綱では、自動車重量税について、平成24年度において燃費等の環境性能に関する一定の基準を満たしている自動車には、本則税率が適用されるとともに、それ以外の自動車に適用される「当分の間税率」については、13年超の自動車を除いて引き下げを行うとしています。
 また、自動車取得税及びエコカー減税については、特に環境性能に優れた自動車に対する軽減措置を拡充した上で3年間の延長を行うとしています。
 車検費用が高いと言われている原因ともなる税の軽減は、自動車ユーザーや私たち自動車整備事業者にとって喜ばしいことではありますが、その反面で、自動車重量税の軽減によって、振興会の印紙売りさばき手数料は大幅に減収となり、振興会の財源にも大きな影響が懸念されます。
 平成24年度の振興会予算編成にあっては、厳しい状況のもとに一層の経費削減を計画しております。このことで会員並びに組合員サービスの低下を招くことのないよう、鋭意努力を続けておりますが、会員の皆様方にもご理解ご協力をいただきたくお願いたします。
 

 「平成22年度自動車分解整備業実態調査結果」によると、総整備売上高は、前年度比0.4%増加の5兆4,869億円で、微増ではありますが4年ぶりに増加に転じました。しかしその規模は、20年前の売上高と同程度の水準であり、自動車整備業界を取り巻く環境は引き続き厳しく、売上高減少の基調は今もなお継続していると思われます。
 こうした厳しい状況の中で、当会では、自動車に関連した法改正をはじめとして、急務となっている高度化する自動車新技術などへの対応を積極的に取り組んでまいりました。
 国土交通省において、昨年、自動車整備技術の高度化検討会が発足し、外部診断器の標準仕様の策定に伴う整備情報の取扱い、整備士に対する専門教育の必要性などについて検討がなされております。
 また、昨年12月に開催された東京モーターショーにおいても、各自動車メーカーの出展とも高度な電子制御による燃料消費の少ない車両やHV、EVなど、化石燃料への依存を減らす自動車が目立ちました。これらは、今後の日本のクルマ社会が、その動力、制御ともに大きく変化していくことを示しているものであり、自動車ユーザーの安心・安全を担う我々自動車整備業界も時流の変化に追従していく必要があります。
 当会としても、これらに対応すべく、労働安全衛生法に規定された「低圧電気取扱い業務に係る特別教育講習会」をはじめ、HV・EV車を対象とした「ディーラー別研修会」などを積極的に開催しています。次世代自動車の整備を行うために必須の整備機器である外部診断器の活用については、各支部を対象とした整備機器講習会を展開し、昨年においては、これまでの基礎編に加えステップアップ編の講習を実施して更なる業界における整備技術のレベルアップに努めてまいりました。

 また、昨年は自動車整備業界で最大のイベントである「第18回全日本自動車整備技能競技大会」が開催されました。
 当会においても「第13回東京都自動車整備技能競技大会」を開催し、東京代表チームを選抜して全国大会に挑みました。結果は惜しくも上位入賞には至りませんでしたが、関係者の皆様をはじめ、業務多用のところ会場まで応援にお越しいただいた皆様に改めてお礼を申し上げます。今後とも会員事業場のニーズに即した教育事業を展開し、業界全体の更なる技術向上に努めていく所存です。
 
 

 一方で、自動車整備事業に関連する事柄としては、国会において「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」が閣議決定されたことを受け、自動車特会改革の一環として「指定整備工場の指定要件の緩和などを通じ、指定整備率を向上させ、大幅な民間移管を検討し、実施」するよう提言がありました。これを受け国土交通省では、「認証工場が最寄りの指定工場と提携し、双方の責任において車検業務を行う」など、指定工場要件の緩和を伴う措置が検討されていると聞いております。これにより「指定工場のあり方」についても大きな変革が予想されることから、今後の動向に注視していく必要があります。

 今年の大きな課題の一つとして、振興会の一般法人化への対応があります。
 振興会は、これまで60年有余にわたり道路運送車両法に基づく団体として公益事業を推進してまいりましたが、これによって我々振興会組織も「非営利型一般社団法人」として新たな転換期を迎えることとなります。
 当会は、「公益法人制度改革対応委員会」における答申を受け、平成22年3月の臨時総会において、「一般社団法人」に移行することが決議されました。
 平成22年6月には「組織運営特別委員会」を設置し、支部組織や理事のあり方などについての検討が行われ、来るべき平成25年4月の一般法人移行を目指して鋭意準備を進めてまいりました。
 本年は、3月に開催される臨時総会において、一般法人移行に向けての「一般法人の新定款」並びに理事定数の変更を伴う「現定款」の二つの定款改正についてご審議いただくことを予定しております。
 これらの定款改正を行うには、総会において会員総数の4分の3以上の議決が必要であり、臨時総会における定款改正の審議は、一般法人化に向けた振興会組織の存続にかかわる大きな事項となりますので、会員の皆様におかれましては特段のご協力をお願いいたします。

 本年の2月には練馬管内に軽自動車検査場が開設されることになります。当会としても長年の懸案であった「管内ごとの検査場」が実現される結果となり、会員の皆様の更なる利便性向上が期待されるところです。
  

 
 一方、商工組合においては、これまで、国が推奨する構造改善事業を中核とした事業推進を行ってまいりましたが、昨年3月には、長年にわたり自動車整備業の近代化、合理化に貢献してまいりました「自動車整備近代化資金」の新規貸付が終了し、商工組合も新たな転換期を迎えようとしています。
 このような情勢のなか、整商連では「これからの商工組合事業のあり方に関する新たな提言」をとりまとめ、今後の商工組合における指針として、組合員ニーズに即した商品の安定供給に重点を置いた共同購買事業、基礎研修の充実と整備技術向上に根差した人材育成事業、使用済み自動車とそれに伴う産業廃棄物の共同処理並びにリサイクルの推進を行う環境保全・省資源対策事業、経営・経理実務の支援と高度診断機器の普及促進を目的とした機器の貸出し及びリースを行う経営実務支援事業の4つの推進事業を提言しました。当組合においても、整商連が提言する事業推進を考慮し、各種オイル類の販売促進をはじめ、新技術に対応した外部診断器、オパシメータ、ヘッドライトテスタ等の用品・工具類の販売促進に加え、整備事業者向けタブレット端末の販売やリユースバッテリー、マルチエコフィルター、太陽光発電システムなどの環境対応商品を拡充展開し、将来に向けた継続的な発展を目指して事業推進を行ってまいりたいと思います。
 また、一般法人化を控えた振興会との一体的な事業運営のなかで、商工組合組織として今後のあるべき姿を検討すべく、昨年10月には「都整商あり方検討会」を発足しました。現在、この検討会では、振興会において今後予定されている「一般法人への移行」を受け、振興会との一体的事業運営において商工組合が克服すべき課題についての検討がなされており、当面の課題として、理事定数のあり方などが審議されており、今後の商工組合組織運営のあり方については引き続き審議を重ねていくこととしております。
 今後とも、組合員の皆様に必要とされる商工組合を目指して努力してまいりますので、組合員の皆様におかれましては購販事業の更なる利用促進についてご協力をお願いいたします。
 

 本年においては、「一般法人化への対応」「今後の都整商のあり方」「故障診断技術へ対応」をはじめとした様々な課題に取り組み、両団体の一層の効率化と更なるサービス向上に努め組織を運営してまいる所存です。
 結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、被災地の一刻も早い復興と皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。
 

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