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2011/01/01最近の話題

平成23年 年頭所感 坂本浅喜與会長理事長



 

 新年明けましておめでとうございます。

 
 平成23年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

 
 昨年の日本経済は、エコカー減税やエコカー補助金による新車販売の押し上げ効果により一定の景気回復効果をもたらしましたが、一転して、政府の助成が終了し、その反動減に伴って、経済の屋台骨である自動車産業は各メーカーに減産の動きが相次ぐなど、先行きが不透明な情勢となりました。

 昨年3月末の全国における自動車保有台数は前年から約11万台減少するなど、平成19年をピークに3年連続して減少を続けています。また、都内における保有台数も平成9年を頂点として減少の一途をたどり、昨年にあっては450万台を下回るといった、依然として厳しい状況にあります。

 一方で、自動車の平均使用年数は過去最長となり、普通乗用車が13.2年、小型乗用車は12.37年と、いずれも高齢化の傾向にあります。貨物車にあっては12.72年と過去最長を記録した一昨年より0.78年短期化しており、このことは長引く景気の悪化による事業用車の減車が影響していると分析されております。自動車整備事業者にとっては、使用年数が長期化している低年式車に対する点検整備の重要性が増している一方で、保有台数の減少は切実な問題と言えます。

 「平成21年度自動車分解整備業実態調査結果」によると、「総整備売上高」は前年度比5.3%減少の5兆4,671億円で、3年連続して減少を続けており、都内ではそれを裏付けるかのように認証工場の数も減少傾向を示しています。このような厳しい状況のなか、自動車に関連した法改正をはじめとして、電子化に伴い高度化する自動車新技術などへの対応は急務であり、昨年はこれらに対し積極的に取り組んでまいりました。

 
 昨年来、各社からHVやEVなどの新型車が相次いで発表されており、これからの日本のクルマ社会はモーターを原動力として急速な転換を果たそうとしています。

 このような自動車の多くはパワーマネジメントの高度な制御システムをはじめ、安全確保のための様々な電子部品などが搭載され、それに伴う高度な故障診断技術が求められているとともに、車載式故障診断装置の装着義務化の後押しもあって、外部診断器などによる故障診断技術の習得は必要不可欠なものとなりつつあります。

 当会としても、労働安全衛生法に規定された「低圧電気取扱い業務に係る特別教育講習会」をはじめ、HV・EV車を対象とした「ディーラー別研修会」等を開催するとともに、自動車整備事業者の次世代自動車対応への一環として、一昨年より整備機器講習会を展開し、これまでに延べ100回、1700余名の方に受講をいただく成果を修めてまいりました。本年度においては、教材の外部診断器の各支部貸与台数を一部増加させていただきました。来年度は次の応用ステップにつなげるための講習会開催も予定しております。支部においては、今後とも外部診断器を有効にご活用いただき、皆様の新技術習得にお役立ていただきたいと存じます。

 
 また、本年は、自動車整備技術の向上と技術の研鑚を目的とした「第18回全日本自動車整備技能競技大会」の開催が予定されています。

当会においても「第13回東京都自動車整備技能競技大会」を開催して東京代表チームを選抜し、上位入賞を目指していく所存であります。

 我々自動車整備事業者にあって、コンプライアンスは大きな課題です。なかでも、指定自動車整備事業における法令遵守は、自動車整備業の社会的地位の向上には欠くことのできない重要項目です。

 昨年、国土交通省によって公表されたデータでは、平成19年4月に施行された指定工場での工員数緩和の影響もあってか、指定自動車整備事業者数は増加の傾向にあり、指定整備率も7割強を推移しています。

 その中で、指定自動車整備事業者における処分状況をみると、昨年度は152件と平成18年度をピークに4年連続しての減少傾向にあります。

 このことは、これまでに実践してきた指定自動車整備事業の適正化への取り組み結果の成果であるとともに、皆様の意識向上の結果であると思います。

 本年においても、指定自動車整備事業者の研修会や会員事業場への巡回相談等を積極的に実施し、更なる適正化策に注力してまいりたいと思います。

 
 昨年は、事業仕分けが大きな話題となり、我々自動車整備業界に係わる部分として、自動車検査独立行政法人と自動車安全特別会計が取り上げられました。

 仕分けでは「車検事務の大幅な民間への移管」「指定工場での検査」「軽自動車検査協会と自動車検査法人の一体的運営」「検査手数料の適正化」などが指摘されました。これらの課題は業界にとって大きな影響を受けることが想定されますので今後の動向を見極めつつ慎重に対応してまいりたいと存じます。

 検査場の関連では、昨年12月6日に多摩軽自動車検査場がこれまでの国立市の施設から府中市朝日町の新施設に移転をいたしました。かねてよりの懸案であった「設備の改善」が成し遂げられ、新施設の業務も順調に稼働していると聞いております。会員の皆様には一層のご活用をお願い申し上げます。

 
 業界の直面している課題に、「環境問題への対応」があります。昨年は国土交通省の「自動車エコ整備に関する調査検討会」が定期点検整備の実施によるCO排出量の削減効果の実証試験結果を公表し、エンジン・オイル及びオイル・フィルタ交換、エア・クリーナ・エレメント交換、スパーク・プラグ交換、タイヤ空気圧調整を行うことで、平均して2%程度の燃費改善効果が立証されました。また、COは自動車の故障や事故などによる渋滞によっても大量に発生することがあり、その要因の一つとして整備不良が挙げられています。

 自動車の保守管理が地球温暖化に間接的に影響を及ぼす側面を考慮すれば、点検整備を確実に実施することによって、CO削減に多大な効果をもたらすこととなります。また、会員組合員事業場においては、日頃の業務を通じて省エネルギーとCOの削減に努め、社会貢献していただくようお願い申し上げます。

 また、都内における環境対策の一環として展開しておりました「東京都適合車ステッカー」の交付業務が昨年3月をもって終了致しました。会員皆様の多大なご理解と特段のご協力のもとに業務を遂行することができましたことに対し、あらためてお礼申し上げます。

 
 点検整備の促進と環境活動の一環として、平成8年より展開している「GOODマークステッカー」を昨年4月にリニューアルいたしました。これまでGOODマークは「使用者の責任と安心の証です」を合言葉に「定期点検実施済」の証として位置づけておりましたが、今年度より整備業界における環境保全への寄与を前面に打ち出すべく、「COの削減に寄与する環境に優しい車」をスローガンに掲げました。本年1月から3月までを強化月間として、ステッカー売上げの一部を「緑の東京募金」へ寄付するなど、環境保全活動に参加をしてまいりますので、会員各位の更なるご協力をお願い申し上げます。

 ユーザーへの広報活動として、ラジオCM放送、てんけんくんラッピングバス走行等を実施し、「安全」と「環境」の観点から点検整備の重要性について啓発活動に取り組んでいるところであります。しかしながら、自動車ユーザーの保守管理意識はまだまだ低く、ユーザーに義務付けられている定期点検整備の実施率は、半数に満たない現状にあります。

 当会においては、定期点検整備促進のためのデータ収集を目的に、平成19年度に自動車灯火類の球切れ調査を実施いたしましたが、今年度においては、調査項目にナンバー灯を加えるとともに事業用自動車に特化した新たな調査を実施しております。

 これまでに都内幹線道路を走行する8,100台の自動車を調査したところ6.27% (508台)の自動車にヘッドランプやブレーキランプ、ナンバー灯などの球切れ等の異常がありました。今後も、このようなデータを基に、日常点検や定期点検整備の重要性をアピールしていく所存です。

 また、振興会の大きな課題として、公益法人制度改革関連法案への対応があります。これについては、「公益法人制度改革対応委員会」において検討を重ねた結果、昨年3月の振興会臨時総会において、当会は「非営利型一般社団法人」に移行することが決議されました。昨年はこれを受け、「組織運営特別委員会」を組織し、支部組織や理事のあり方など、今後の課題について鋭意検討をしている所であります。本年においては、組織運営特別委員会からの答申を受け、一般法人化に向けた取り組みを行ってまいります。

 
 
 一方、商工組合にあっては、自動車整備近代化資金の貸付業務が本年3月末をもって終了することとなりました。自動車整備近代化資金は、自動車整備業の近代化、合理化を支援するため、昭和58年に創設された金融制度でありますが、これまでに6次にわたる出捐により、自動車整備業界の経営安定化に大きな役割を担ってまいりました。これまで、組合員の皆様には多大なご協力をいただき重ねてお礼申し上げます。

 
 本年につきましては、各種オイル類の販売促進をはじめ、新技術に対応した外部診断器、オパシメータ、ヘッドライトテスタ等の用品・工具類の販売促進に加え、昨年より開始した故障診断センター(ダイアグステーション)の都内本格展開にあたり組合員の皆様の利用促進等に努めてまいります。

 また、組合員支援対策の一環として、リサイクルオイルフィルターの利用促進をはじめとして、リユースバッテリーの推奨、廃棄バッテリー及びアルミホイールの国内リサイクル等、組合員ニーズに基づいた事業を展開してまいりますので、更なるご支援ご協力を重ねてお願い申し上げます。

 
 本年においてはこれらの様々な課題に取り組み、両団体の一層の効率化と更なるサービス向上に努め組織を運営してまいる所存です。
 

 最後になりますが、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。










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