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2010/12/21最近の話題

内閣府税制調査会、平成23年度税制改正大綱を公表

 内閣府が設置した政府税制調査会が「平成23年度税制改正大綱」を取りまとめたのでお知らせいたします。
 なお、自動車整備事業に関する税制の抜粋は以下のとおり。

 平成23年度税制改正大綱(内閣府ホームページにリンクします)
 
 

 4.法人課税
(1)基本的な考え方
デフレから脱却し、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていくため、国内企業の国際競争力強化と外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資を拡大することが喫緊の政策課題となっています。こうした観点から、先進国の中で米国と並んで最も高い水準にある我が国の国税と地方税を合わせた法人実効税率について、「新成長戦略」(平成 22 年 6 月 18日閣議決定)の方針の下、課税ベースの拡大等により財源確保を図りつつ、引下げを行います。厳しい環境に置かれている中小法人に適用される軽減税率も引き下げます。
また、雇用を増加させた企業を支援する雇用促進税制、成長分野である環境分野への投資を促進するための税制措置、国際的な企業立地競争の中で我が国の魅力を向上させる税制措置を講じます。
このような税制面での対応により、国内の雇用や投資が増加し、それが持続的な経済成長をもたらして、新たな雇用や投資を生むという好循環の実現を目指します。

(2)改革の取組み
(1) 法人実効税率の引下げ
平成 23 年度税制改正では、国税と地方税を合わせた法人実効税率を5%引き下げます。このため、現在 30%である法人税率を 25.5%に引き下げます1。これにより、我が国企業の国際競争力の向上や我が国の立地環境の改善が図られるとともに、「日本国内投資促進プログラム」2で示されたように我が国企業が国内の投資拡大や雇用創出に積極的に取り組み、これらが相まってデフレからの早期脱却につながることが期待されます。 
税率引下げに併せて、課税ベースの拡大を行います。具体的には、租税特別措置である特別償却や準備金等の廃止や一部縮減を行うほか、法人税法上の措置である減価償却制度の償却速度を主要国並みに見直すことや、大法人について欠損金の繰越控除を一部制限する等の措置を講じます。
なお、法人実効税率の引下げは、我が国企業の国際競争力の観点等から行うものであるため、全体として地方の税収に極力影響を与えないようにします。また、法人実効税率の引下げと課税ベースの拡大措置に伴う都道府県と市町村の増減収を調整するため、平成 24 年度から道府県たばこ税の一部を市町村たばこ税に移譲します。
 

(2) 中小法人に対する軽減税率の引下げ
我が国で地域経済の柱となり、雇用の大半を担っているのは中小企業です。厳しい経済状況の中、こうした中小企業を支えることは、重要な政策課題の一つです。法人実効税率の5%引下げは中小法人にも適用されますが、これに加え、平成 22 年度末に期限切れを迎える中小法人に対する 18%の軽減税率についても、一般の税率とのバランスや個人事業主の所得税負担水準とのバランス等を勘案して、15%まで引き下げることとします。これに伴い、中小企業関連の租税特別措置についても一部見直しを行います
 
(3) 雇用促進税制
雇用の維持・増加を図り、それによって経済成長を推進することは、新成長戦略の一つの柱です。税制面でも、法人実効税率の引下げにより国内雇用の維持・増加を促すことに加え、現下の厳しい雇用情勢を踏まえ、出来る限りの支援措置を講じる必要があります。
そこで、雇用の受け皿となる成長企業を支援するために、雇用を一定以上増やした企業に対する税制上の優遇措置を創設するとともに、育児支援や障害者雇用促進のための税制上の優遇措置の創設・拡充を行います。
    
(4) 環境関連投資促進税制
地球温暖化問題への対応が重要課題となる中、先進的な技術力を有する我が国において、環境分野は大きな成長が見込まれる有望な分野の一つです。我が国の環境・エネルギー技術の開発を後押しすることにより経済成長につなげるとともに、地球温暖化問題に対応していくため、先進的な低炭素・省エネ設備への投資に対し、税制上の優遇措置を講じることとします。

(6) 租税特別措置(国税)の見直し
法人実効税率引下げに伴う課税ベースの拡大措置に加え、平成 22年度税制改正大綱にもあるように、税制を納税者の視点に立って公平で分かりやすい仕組みとするとの観点から、租税特別措置については引き続き徹底した見直しを進めます。平成 23 年度税制改正においては、政策税制措置について109項目の見直しを行い、その結果として、50項目を廃止又は縮減します。
 

 
 

6.環境関連税制 
(1)地球温暖化対策のための税の導入
地球温暖化防止のための温室効果ガスの削減は、我が国のみならず地球規模の重要かつ喫緊の課題です。欧州諸国を中心とした諸外国では、1990年代以降、燃料などのCO2排出源に対する課税を強化し、価格メカニズムを通じたCO2排出の抑制や企業による省エネ設備導入の支援などを行う施策が進められています。
我が国では、温室効果ガスの約9割をエネルギー起源CO2 が占めており、エネルギー基本計画(平成 22年6月18日閣議決定)においては、地球温暖化対策等を強力かつ十分に推進することにより、エネルギー起源CO2 を 2030 年に 1990 年比▲30%程度、もしくはそれ以上削減することを見込んでいます。
こうした状況に鑑み、我が国においても税制による地球温暖化対策を強化するとともに、エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施していく観点から、平成 23 年度に「地球温暖化対策のための税」を導入することとします。
具体的な手法としては、広範な分野にわたりエネルギー起源CO2排出抑制を図るため、全化石燃料を課税ベースとする現行の石油石炭税にCO2 排出量に応じた税率を上乗せする「地球温暖化対策のための課税の特例」を設けることとします。
この特例により上乗せする税率は、原油及び石油製品については1キロリットル当たり 760 円、ガス状炭化水素は1トン当たり 780 円、石炭は1トン当たり 670 円とします。 このように「広く薄く」負担を求めることで、特定の分野や産業に過重な負担となることを避け、課税の公平性を確保します。また、導入に当たっては、急激な負担増とならないよう、税率を段階的に引き上げるとともに、一定の分野については、所要の免税・還付措置を設けることとします。併せて、燃料の生産・流通コストの削減や供給の安定化、物
流・交通の省エネ化のための方策や、過疎・寒冷地に配慮した支援策についても実施することとします。
(2)揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税
国及び地方の財政事情は引き続き非常に厳しい状況にあることや、地球温暖化対策の観点も踏まえ、引き続き、平成 23 年度においては、揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税について当分の間として措置されている現在の税率水準を維持することとします。
軽油引取税の当分の間税率を当面継続するにあたり、これと一体の措置である営業用トラック、バスに対する運輸事業振興助成交付金については、これに関する地方交付税措置を含め、継続します。
なお、交付金制度の透明性の向上を図るとともに、交付金基準額の確実な交付を確保するため、法整備等を受け所要の措置を講じます。
(3)森林吸収源対策
温室効果ガスの削減に係る国際約束の達成等を図る観点から、森林吸収源対策を含めた諸施策の着実な推進に資するよう国全体としての財源確保を引き続き検討します。
(4)地球温暖化対策に関する地方の財源確保
地球温暖化対策を推進するためには、地域において主体的な取組が進められることが不可欠です。既に地方公共団体が、地球温暖化対策について様々な分野で多くの事業を実施していることを踏まえ、エネルギー起源CO2 排出抑制策、森林吸収源対策などの地球温暖化対策に係る諸施策を地域において総合的に進めるため、地方公共団体の財源を確保する仕組みについて検討します。

 
 

3.資産課税
〔地方税〕
(廃止・縮減等)
〈固定資産税・都市計画税〉
(6) 駐車場法に基づき路外駐車場の整備に関する事業の計画の概要が定められた自動二輪車専用駐車場の用に供する家屋に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止します。
(19) 低公害車燃料等供給施設の用に供する一定の償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、対象から充電設備を除外した上、その適用期限を2年延長します
 (36)河川法に規定する河川立体区域制度による河川整備に係る事業のために使用される土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者が、当該土地の上に取得する代替家屋に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、所要の経過措置を講じた上、廃止します。
 
(新設)
〈固定資産税・都市計画税〉
(2) 特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律における一定の基準適合表示の付された特定特殊自動車に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の5分の3とする措置を、同法に基づき、特定特殊自動車に対して、その定格出力ごとに定められる規制の開始までの期間(定格出力が130kW以上560kW未満のものについては、当該規制の開始後1年を経過するまでの期間)に限り講じます。

 


4.法人課税
(1)法人税制
〔国税〕
(1) 法人税の税率を次のとおり引き下げ、法人の平成 23 年4月1日以後に開始する事業年度について適用します。
 
 
(注1)中小法人には、一般社団法人等及び人格のない社団等を含みます。
(注2)「現行」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成 21 年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する事業年度に適用されています。
(注3)「改正案」欄のカッコ内は、租税特別措置法により平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用します。なお、中小法人、公益法人等、協同組合等及び特定の医療法人の平成 23 年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、経過措置として現行の租税特別措置法による税率を適用します。
 
〔地方税〕
(1) 国税と地方税を合わせた法人実効税率を5%引き下げるため、法人税の基本税率の引下げに伴い、法人住民税率を維持することとし、法人住民税の実効税率を0.87%引き下げます。
 

(2)中小企業税制
〔国税〕
(1) 中小法人の軽減税率について、特例による税率を15%(現行18%)に引き下げた上、平成 23 年4月1日から平成 26 年3月 31 日までの間に開始する事業年度について適用するとともに、本則税率を 19%(現行22%)に引き下げます。(再掲)
(注)平成 23 年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、経過措置として現行の租税特別措置法による税率を適用します。
 

(4)環境関連投資促進税制
〔国税〕
(新設)
(1) 青色申告書を提出する法人が、平成 23年4月1日から平成26年3月 31 日までの間に、エネルギー起源CO2 排出削減又は再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる設備等の取得等をして、これを1年以内に国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の 30%の特別償却(中小企業者等については、取得価額の7%の税額控除との選択適用)ができる措置を講じます。ただし、税額控除額については当期の法人税額の 20%を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越しができることとします(所得税についても同様とします。)
 

〔地方税〕
(新設)
(1) 中小企業者等が、平成 23 年4月1日から平成 26 年3月 31 日までの間に、エネルギー起源CO2 排出削減又は再生可能エネルギー導入拡大に相当程度の効果が見込まれる設備等の取得等をして、これを1年以内に国内にある事業の用に供した場合に、選択適用できることとされた取得価額の7%の法人税の税額控除を法人住民税に適用します。
 
(6)その他の租税特別措置等
〔国税〕
(廃止・縮減等)
(1) 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例について、適用期限の到来をもって廃止します(所得税についても同様とします。)。
(2) エネルギー需給構造改革推進投資促進税制を廃止します(所得税についても同様とします。)。
(3) 中小企業等基盤強化税制について、適用期限の到来をもって廃止します。なお、本制度の廃止に伴い、中小企業投資促進税制の対象から除外されているソフトウエアの範囲について所要の見直しを行います(所得税についても同様とします。)。
(4) 公害防止用設備の特別償却制度について、特別償却率を8%(現行14%)に引き下げるとともに、対象設備のうち指定物質回収設備を中小企業者等が新増設をする指定物質の回収の用に供される装置を含むドライクリーニング機等に見直した上、その適用期限を1年延長します(所得税についても同様とします。)。
(9) 事業革新設備等の特別償却制度について、所要の経過措置を講じた上、廃止します(所得税についても同様とします。)。
(22) 公益法人等又は協同組合等の貸倒引当金の特例について、割増率を12%(現行16%)に引き下げた上、その適用期限を3年延長します。
 

〔地方税〕
(廃止・縮減等)
(1) 法人住民税について試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例について、適用期限の到来をもって廃止します。
(2) 法人住民税についてエネルギー需給構造改革推進投資税制を廃止します。
(3) 法人住民税について中小企業等基盤強化税制を適用期限の到来をもって廃止します。

 
 


5.消費課税
(1)地球温暖化対策のための税
(1) 石油石炭税に、「地球温暖化対策のための課税の特例」を設け、CO2排出量に応じた税率を上乗せします。
  
(2) 「地球温暖化対策のための課税の特例」により上乗せする税率は、原油及び石油製品については1キロリットル当たり760 円、ガス状炭化水素は1トン当たり 780 円、石炭は1トン当たり 670 円とします。その結果、上乗せ分を合わせた石油石炭税の税率は、次のとおりになります。

 
(3) 上記の改正は平成23年10月1日から実施することとし、次のとおり所要の経過措置を講じます。
 
  
(4) 現行石油石炭税に係る免税・還付措置が設けられている次のイからホについては、「地球温暖化対策のための課税の特例」により上乗せされる税率についても、免税・還付措置が適用されます。
 イ 輸入・国産石油化学製品製造用揮発油等
 ロ 輸入特定石炭
 ハ 沖縄発電用特定石炭
 ニ 輸入・国産農林漁業用A重油
 ホ 国産石油アスファルト等
 
(5) 次のイからニについては、「地球温暖化対策のための課税の特例により上乗せされる税率についてのみ、平成25年3月31日までの間、免税・還付措置を設けることとします。
イ 苛性ソーダ製造業において苛性ソーダ製造用電力の自家発電に利用される輸入石炭
ロ 内航運送用船舶、一定の旅客定期航路用船舶に利用される重油及び軽油
ハ 鉄道事業に利用される軽油
ニ 国内定期運送事業用航空機に積み込まれる航空機燃料
 
(6) その他所要の措置を講じます。
 
(2)租税特別措置等
〔国税〕
(延長・拡充等)
(3) バイオエタノール等揮発油に係る揮発油税及び地方揮発油税の課税標準の特例措置の対象に、特定の未納税移出先からの移出を追加します。
(5) 輸入・国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免税・還付措置の適用期限を1年延長します。
(6) 輸入特定石炭に係る石油石炭税の免税措置の適用期限を2年延長します。
 
〔地方税〕
(延長・拡充等)
〈自動車取得税〉
(1) 過疎地域等における地域公共交通確保維持のための自動車取得税の非課税措置について、都道府県の条例で定める路線の運行の用に供する一般乗合用のバスの取得を非課税とする措置に改めます。
 

 

9.検討事項
〔国税〕
(6)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度については、その適用の基礎となる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づく認定等の運用状況や政策目的等を踏まえ、同制度の活用を促進するための方策や課税の一層の適正化を図る措置について引き続き検討を行います。
 
(8)会計検査院から意見表示がなされている中小企業者に対する法人税率の特例の適用範囲の見直し及び中小企業者に適用される租税特別措置の適用範囲の見直しについては、経済産業省において適用実態を精査した上で、平成 24年度税制改正において検討することとします。
 
(11)地球温暖化対策については、今回「地球温暖化対策のための税」として、CO2排出抑制に資する観点から新たに設けられた「地球温暖化対策のための課税の特例」、国内排出量取引制度、再生可能エネルギー全量固定価格買取制度といった施策の整合性確保が不可欠です。
各施策の進捗を踏まえ、その整合性や政策効果の検証を行った上で、必要に応じ、税の名称等についても、更に検討を行っていきます。
 
(12)原料用石油製品等に係る免税・還付措置の恒久化や本則化について、平成24 年度税制改正において引き続き検討します。


〔国税・地方税共通〕
(4)車体課税については、エコカー減税の期限到来時までに、地球温暖化対策の観点や国及び地方の財政の状況も踏まえつつ、当分の間として適用されている税率の取扱いを含め、簡素化、グリーン化、負担の軽減等を行う方向で抜本的な見直しを検討します。
(5)地球温暖化対策に関する国と地方の役割分担を踏まえ、地方財源を確保・充実する仕組みについて、平成24 年度実施に向けた成案を得るべく更に検討を進めます。


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