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2010/04/26最近の話題

国交省、自動車メーカーから報告のあった「事故・車両火災」をとりまとめる

 国土交通省は、自動車メーカーから平成21年中に報告のあった事故・火災情報について、事故別、装置別び原因別などの統計的なとりまとめを行い、公表した。 
 また、平成21年中に報告のあった事故・火災情報の中から、ユーザーへの注喚起等が必要と考えられるフロアマットの使用方法に起因する事故及びエンジンーム内に置き忘れた可燃物等による火災について、技術的な調査(委託先:(独交通安全環境研究所)を行い、これらの調査結果を踏まえて(社)日本自動車工業会等の関係団体に対して、ユーザーへの注意喚起に関する協力依頼、ブレーキ・オーバーライド・システム導入及び市販フロアマットの改善検討を要望した。同省ウェブサイトにおいても、ユーザーへの意喚起情報を掲載した(http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/carsafety.html)。
 

●事故・火災情報のとりまとめ概要
 [1] 事故・火災情報の件数は、1,138件であり、その内訳は、事故154件(13.5%)、火災984件(86.5%)となっている。
 [2] 車種(用途)別の事故・火災情報の上位は、乗用車401件(35.2%)、貨物車355件(31.2%)、軽乗用車168件(14.8%)の順となっている。
 [3] 装置別の事故・火災情報の上位は、不明342件(30.1%)、原動機191件(16.8%)、制動装置72件(6.3%)の順となっている。
 [4] 原因別の事故・火災情報の上位は、点検・整備起因321件(28.2%)、原因特定できず273件(24.0%)、現車確認できず157件(13.8%)の順となっている。(詳細については、資料1参照

 
●フロアマットの使用方法に関する調査結果概要
 事故・火災情報の中で、フロアマットにアクセルペダルが引っかかるなど、フロアマットの不適切な使用方法による事故が13件発生している。このため、この事故の分析、市販されているフロアマットの調査、フロアマットとアクセルペダルの引っかかりに関する再現試験(ブレーキ・オーバーライド・システムの効果を含む。)、フロアマットの運転時等の視認性などの調査を行い、ユーザーへの注意事項をとりまとめた。

<結果概要>
 [1]事故13件を分析した結果、走行状態、車種別による発生頻度に顕著な傾向は見られない。また、使用状態別では、社外品フロアマットの二重敷き11件、未固定2件であり、いずれもフロアマットを不適切に使用していた。
 [2]社外品フロアマットの滑りやすさは、フロアマット毎でバラツキがみられた。これは、裏面の形状にスパイク等の滑り止めがされているもの、されていないものが存在しており、このスパイクが密なほどフロアマットは滑りにくい結果となった。
 [3]二重敷き及び未固定のフロアマットは、乗降時及び運転時等において前方にずれ、アクセルペダルを踏み込んだときに、ずれたフロアマットにアクセルペダルが引っかかり、運転者の意図せぬ加速が生じる可能性がある。 
 [4]負圧で機能しているブレーキの倍力装置は、アクセル開放時には機能しにくくなるため、制動停止距離が伸び、最悪の場合は停止できないことがある。
 [5]ブレーキ・オーバーライド・システムは、[3]・[4]の場合においても停止することが可能である。 
 [6]運転席等から見たフロアマットの視認性は、フロアマットのずれを運転中に確認することは困難である。
 
<ユーザーへの注意事項>
 ●フロアマットをしっかりと固定して使用すること。
 ●フロアマットの重ね敷きは行わないこと。
 ●運転前にフロアマットが正しく固定されているか確認すること。
 ●フロアマットとアクセルペダルが干渉して加速した場合にブレーキ操作を繰り返し行うと、ブレーキ倍力装置の機能が大幅に低下するため、ブレーキ操作に大きな踏力(強く踏む力)が必要となり注意すること。(詳細については、資料2参照)

 ●エンジンルーム内の可燃物置き忘れなどに関する調査結果概要
  事故・火災情報の中で、エンジンルーム内の可燃物置き忘れなどが原因となった火災が72件発生している。このため、この火災の分析、可燃物の発火温度、実車によるエンジンルーム内の部位別温度測定及び発火試験などについて調査を行い、ユーザーへの注意事項をとりまとめた。
 
<結果概要>
 [1]火災72件を分析した結果、車種別では、乗用車32件、軽乗用車19件であり、乗用車が全体の約7割を占めている。また、原因別では、可燃物(ウエス等)の置き忘れ56件、枯れ草7件、小動物が持ち込んだ可燃物4件、鳥類が持ち込んだ可燃物4件であり、可燃物(ウエス等)の置き忘れが全体の約8割となっている。
 [2]エンジンオイル等が付着しているウエス等の可燃物の最低発火温度は300~350℃であった。
 [3]一般市街地走行でもエンジン高温部は300~350℃に達することがあり、特に高速道路等の登坂路走行直後サービスエリアで停車するような排気系温度が高いままで維持される条件では、300~350℃に容易に達し、発火する可能性がある。
 [4]発火前に焦げた臭いなどの異臭が室内で感じられ、この臭気は最低発火温度前後から始まり、発火後2~3分が著しい。

 
<ユーザーへの注意事項>
 ●運行前に、エンジンルーム内に可燃物の置き忘れがないことを確認すること。
 ●車両を長期間使用しなかった場合は、小動物や鳥類に持ち込まれた小枝等がないことを確認すること。
 ●走行中、焦げた臭いを感じたときは、走行を継続しないこと。 (詳細については、資料3参照
 ●関係団体への協力依頼・要望 (別紙参照
 

<ユーザーへの注意喚起の協力依頼>
(社)日本自動車工業会、(社)自動車用品小売業協会等の自動車関係団体に対し、フロアマットの使用方法及びエンジンルーム内の可燃物置き忘れなどに関し、ユーザーに注意喚起するよう協力依頼を行った。なお、フロアマットの適切な使用に関しては、(社)日本自動車工業会及び(社)自動車用品小売業協会において、昨年12月から国土交通省の依頼により、注意喚起を行っているため、継続的な注意喚起の協力依頼を行った。
<ブレーキオーバーライドシステム導入の要望>
(社)日本自動車工業会等に対し、ブレーキ・オーバーライド・システムの導 入を検討するよう要望した。
<市販されているフロアマットに関する改善を要望>
(社)自動車用品小売業協会等に対し、フロアマットの使用方法に関する表示、 形状等の改善を検討するよう要望した。
 
【添付資料】
  別紙 関係団体への協力依頼・要望
  資料1 事故・火災情報の統計結果について
  資料2 フロアマットの使用方法に関する調査結果
  資料3 エンジンルーム内の可燃物置き忘れなどに関する調査結果

 

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