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2010/04/19最近の話題

自工会、2009年度乗用車市場動向調査を公表

 一般社団法人日本自動車工業会は、2009年度に実施した乗用車市場動向調査の結果をまとめ、公表した。

 この調査は、同会が一般世帯における乗用車の保有、今後の購入意向などを調査し、需要の質的変化の見通しに役立てるため、全国の世帯に対して隔年毎にアンケート調査を行なっているもの。

 時系列調査結果の主な特徴として以下が見られた。
 ・今回調査における全国乗用車世帯保有率は75.8%。1999年から2007年まで79%前後で推移していたが、今回は全国的には経済要因により、また地域によってはさらに人口動態要因により減少に転じたと思われる。
 ・複数保有率は36.1%。01年から07年は40%前後で推移していたが、今回は減少。
 ・車型は「大・中型」「小型」の比率が減少し、「軽」の増加傾向が継続中。「大衆車」は07年まで減少傾向だったが、09年は増加。これにはエコカー減税等の影響もあったと推察される。
 ・前保有車の保有期間(実態)、現保有車の保有予定期間(推計)のいずれも長期化傾向が継続。
 ・「ハイブリッド」は、不況の影響を受けてユーザーの消費マインドや市場が停滞する中でも、「経済性(低燃費)」と「環境(エコ)」の双方から、消費者に魅力を訴求できる力を持つ。そして、このような先進的で魅力ある車の登場により、市場が活性化する可能性を示唆している。
 ・ETC休日特別割引の利用率は36%(ETC搭載車ベースでは78%にのぼる)。

 調査の概要は以下のとおり。
 
 

 

2009年度乗用車市場動向調査の概要

 
1.市場調査活動について

全国の世帯に対し、隔年毎にアンケート調査を行なっている。
 
 
2.調査設計の概要

調査地域全国
調査対象単身世帯を含む一般世帯
有効回収数3,926サンプル
(回収率:37.5%)
調査実施期間2009年9月10日~10月5日

3.今回調査の特徴

(1)乗用車保有動向
 ●世帯保有率・複数保有率は経済要因等の影響により低下
 今回調査における全国乗用車世帯保有率は75.8%。1999年から2007年まで79%前後で推移していたが、今回は全国的には経済要因により、また地域によってはさらに人口動態要因により減少に転じたと思われる。複数保有率は36.1%。01年から07年は40%前後で推移していたが、今回は減少。
 地域別では、05年から07年は首都圏中心部と地方圏の中都市、小都市で、世帯保有率、複数保有率がともに減少したが、07年から09年は首都圏周辺と地方圏郡部で両者ともに減少。交通の利便性の高い大都市だけでなく、郡部においても減少が顕著になった。
 世帯特性との関連を考察すると、首都圏は1人世帯とライフステージの独身期の増加、地方圏は2人世帯と高齢期の増加が、保有率低下に関連していると推察される。
 全国的には、世帯年収の減少、および社会の景況感を受けての消費マインドの低下も影響が大きかったと考えられる。
 
●ダウンサイジングの進行
 車型は「大・中型」「小型」の比率が減少し、「軽」の増加傾向が継続中。「大衆車」は07年まで減少傾向だったが、09年は増加。これにはエコカー減税等の影響もあったと推察される。
 複数保有の組み合わせでも「軽」同士が増加。09年は車型のダウンサイジングが進行中。
 
●保有期間はさらに長期化
 前保有車の保有期間(実態)、現保有車の保有予定期間(推計)のいずれも長期化傾向が継続。
 前保有車(新車での購入)が長期化した理由は「車の使用頻度や走行距離が以前と比べて少なくなった」が増加。
 次回の買い替え間隔が長期化する理由では「収入の伸びが思わしくない」「景気が悪い(不況ムードだ)」が増加し、景況感からユーザーの購買意欲が低下していることがうかがえる。
 
(2)ユーザーの意識
●活性化につながるユーザーニーズ
 買い替え時期を早める条件では、「非常に低燃費の車が発売されたら」「自動車関係諸税が軽減されたら」が多い。ユーザーのニーズとして、メーカーに対し経済性(燃費)の高い車を望むとともに、行政施策への期待も大きい。実際に、09年以降に新車で買い替えたユーザーでは「エコカー減税、購入補助金制度が施行されたので」という理由が多かった。
 非保有者における購入条件は、ユーザーと同じく「自動車関係諸税」「低燃費」が多い。また「安全装備が非常に優れた車が発売されたら」が3位と高く、安全への期待が高い。
 
●環境・エコ意識の高まり
 今後車を購入する時の重視度で、「燃費のよさ」「排出ガスが少ない」「リサイクル率が高い」が増加。社会全体における環境意識の高まりとともに、車に関してもユーザーの環境・エコ意識が高くなっていることがうかがえる。
 なんらかの形でエコドライブを実施しているユーザーは9割超。具体的には「発進時にふんわりとアクセルを踏む」「走行中、加減速の少ない運転」「エンジンブレーキを積極的に使う」「待ち合わせ時アイドリングストップ」「エアコンの使用を控える」などで実施率が高い。
 買い替え予定車のエンジンタイプは、「ハイブリッド」が05年16%→07年22%→09年32%と大きく増加。また「電気自動車」についても5%あり、環境に配慮した自動車への消費者の関心が高まっている。しかも、「ハイブリッド」は地域、年収、ライフステージのすべての層で増加し、あらゆる層で広く支持されているのがわかる。
「ハイブリッド」は、不況の影響を受けてユーザーの消費マインドや市場が停滞する中でも、「経済性(低燃費)」と「環境(エコ)」の双方から、消費者に魅力を訴求できる力を持つ。そして、このような先進的で魅力ある車の登場により、市場が活性化する可能性を示唆している。
 
●ユーザーの安全不安の解消が求められる
 事故などへの安全不安については、「横の道から車が飛び出してぶつかりそうになる」「歩行者や自転車の飛び出し等により、ぶつかりそうになる」など、ユーザーの注意だけでは避けられないもの、車単独では対処できないものが上位。これらの不安に対し、車の安全性をさらに向上させていくには、交通インフラとの連携も含めたより広い対処が求められる。
 一方、保有中止世帯、保有未経験世帯の車を持たない理由は経済的要因が大きいが、「交通事故がこわい」も増加している。
 ユーザーの安全不安を解消し、車の安全性を向上させることが、ユーザーだけでなく、ひいては非保有世帯の車購入へのハードルを下げることにつながると考えられる。
 
●ETC休日特別割引により、ユーザーの車使用実態、意識に変化
 ETC休日特別割引の利用率は36%(ETC搭載車ベースでは78%にのぼる)。
 主使用用途ではレジャーで利用率が高い。地域では、首都圏中心部で特に高く、実際にこのエリアでは09年にレジャー利用が増えている。
 利用者における変化をみると、車の使い方では「高速道路の利用が増えた」が44%、意識では「燃費のよい車を購入したい」が24%。ETC休日特別割引の導入によって、高速の利用増やユーザーの購買意欲の活性化など一定の効果があったと言える。

 
【関係資料】
 ■2009年度乗用車市場動向調査報告書(1.41MB)

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