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2010/01/01最近の話題

平成22年 年頭所感 坂本浅喜與会長理事長



 新年明けましておめでとうございます。

 平成22年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

 昨年を振り返ってみますと、世界的な経済不況の余韻が冷めやらぬ中で一年が始まりました。自動車の販売台数が低迷しているところ、政府は緊急経済対策として、ETC車載器の購入補助制度と高速道路料金1,000円、エコカー減税や環境対応車への買い換え補助制度を打ち出しました。

 その効果もあってか、ETC車載器は品薄となり、5月連休中の高速道路通行量も大幅に増加しました。また、新車の販売台数もエコカー減税と環境対応車の補助制度に後押しされ、回復の兆しをみせつつあります。

 全国の自動車保有台数は前年割れを記録しており、都内における保有台数も平成9年の465万1千台をピークに減少し、特に23区内においては、平成3年から4年をピークに減少が続き、依然として厳しい状況にあります。


 一方で、自動車の平均使用年数は過去最長となり、乗用車は11.68年、貨物車は13.5年と、いずれも高齢化の傾向にあります。

 これらについては、今後の景気や新車販売台数の動向が大きく左右してきますが、自動車整備事業者にとっては、使用年数が長期化している低年式車の点検整備を確実に促進していかなければなりません。

 「平成20年度自動車分解整備業実態調査結果」によると、「総整備売上高」は前年度比3.0%減少の5兆7,720億円で、2年連続して減少しています。

 こうした厳しい状況のなか、自動車に関連した環境や法制度をはじめ、高度に複雑化する自動車新技術などへの対応が求められており、昨年はこれらの課題に積極的に取り組んでまいりました。


 昨年の衆議院選挙による政権交代によって税制が見直され、自動車重量税等の暫定税率の廃止が、来年度の国の予算編成で大きく取り上げられました。

 現行の自動車関係諸税については、9種類もの税金が課されており、自動車ユーザーは過度の税負担を強いられていることから、我々自動車整備業界は自動車にかかる税の見直しについて、長年にわたり要望活動を展開してまいりました。

 自動車重量税の税率が軽減されると、自動車整備事業者にとっては、これまで法定費用も含めた形で「車検費用が高い」と言われてきたことが、少しでも軽減されることになり喜ばしいことではありますが、これとは裏腹に、振興会の重量税売り捌き手数料が減収し、振興会の財源に大きな影響が出てきます。平成22年度の予算編成にあっては、これまでにない厳しい状況のもとに経費の削減を計画しております。このような状況下、事務局においては、会員サービスの低下につながらないよう努力を惜しまないつもりではございますが、支部をはじめ会員の皆様方にもご協力を頂かなければならないこともありますので、是非ともご理解を賜りたくお願い申し上げます。


 東京都では都内における環境対策の一環として、昨年4月から、トラックやバスなどの排出ガスをたくさん出す「環境性能の悪い車」を利用しないように働きかけていく「東京都適合車ステッカー」の交付を開始しました。

 私ども振興会では、このステッカーの交付業務について、都からの全面的な委託を受け、会をあげて推進しているところでございますが、会員皆様のご理解なしではできない事業でありますので、是非とも特段のご協力をいただきたく、お願い申し上げます。


 平成20年6月に「特定商取引に関する法律施行令」の一部が改正され、原則すべての商品・役務についてこの法律が適用となりました。自動車分解整備事業者は、車両法に定められた遵守事項はもとより、消費者契約法、個人情報保護法、独占禁止法、景品表示法などによって消費者保護に努めていることから、この制度から除外していただくよう関係方面に要望してまいりました。

 結果として、「自動車分解整備事業者が行う自動車の点検又は整備」が適用除外となったわけでございますが、昨年9月には、消費者保護関係法令を一元管理する「消費者庁」も設置されるなど、これまで以上に消費者保護に関する規制が強化される傾向にあります。

 自動車分解整備事業者にあっては、道路運送車両法に定められた遵守事項の徹底を図り、更なる消費者保護に努めていただきたいと存じます。


 昨年10月に東京モーターショーが開催されました。今回のショーは、一昨年の世界的な不況の影響もあってか、海外からの出展もわずかで、会場規模も大幅に縮小されたことが印象的でした。

例年に比べて規模は小さくなったショーでしたが、国内メーカーはハイブリッドや電気自動車など、こぞってエコカーを発表しました。

 本年においても、各社からHVやEVなどの新型車が発売されるようですが、まさに、日本のクルマ社会はエンジンを原動機とした時代からモーターを主軸とした時代に移り変わろうとしております。

このような自動車には多くの電子部品が搭載され、高度な故障診断技術が求められており、OBDツールなどによる故障診断技術の習得は必須となりました。

 当会としても、労働安全衛生法に規定された「低圧電気取扱い業務に係る特別教育講習会」をはじめ、「ディーラー別研修会」等を開催するなど、自動車整備事業者のHV車対応の一環として、各種研修会を開催しているところでありますが、今後、HV車両の研修、新技術に対応する技術講習等が益々重要となってきたことを実感し、更なる事業展開をしていきたいと考えております。

 また、OBDツールに関しては、支部講習会を開催し、OBDテスタを各支部に1台貸与させていただいているところでありますが、支部においては、是非ともOBDテスタを有効にご活用いただき、新技術に対応していただきたいと存じます。


 昨年は、自動車整備業界の二年に一度の大きなイベントである「第17回全日本自動車整備技能競技大会」が開催されました。

 当会においても昨年7月、「第12回東京都自動車整備技能競技大会」を開催し、東京代表チームを選抜し全国大会に臨みました。その結果、全国総合第4位という輝かしい成績を得ることができました。

今後も会員事業場や整備士のニーズに対応した教育事業を展開し、更なる整備技術のレベルアップをサポートしていくこととしております。


 昨年、鳩山首相が国連で日本のCO2を2020年までに1990年比で25%削減することを表明したことは大きな話題となりました。

 我々整備業界においても、環境問題への対応として、環境に優しい自動車整備事業場顕彰の推薦等を展開しております。

 特に、本年においては日整連が中心となって、自動車整備業界は2012年までにCO2の排出量を5%削減するという目標を掲げております。

 具体的には、整備工場において圧縮空気を利用した工具のエア漏れ防止、洗車時の節水、温水洗車機の灯油の使用量削減、節電や節水などで、整備業界全体の事業場が圧縮エアの漏れをなくすことで、年間1万8千トンのCO2を削減できることが試算されております。

 会員組合員の事業場においては、省エネルギーとCO2削減に、積極的に取り組んでいただくようお願い申し上げます。


 国土交通省の調査によると、1年点検を必ず実施している人は全体の約4割で半数にも達しておりません。自動車ユーザーの保守管理意識はまだまだ低く、引き続き点検整備の必要性をアピールするため、ラジオCM放送、てんけんくんラッピングバス走行等を実施し、「安全」と「環境」の観点から点検整備の重要性について啓発活動に取り組んでいるところであります。


 また、振興会の大きな課題として、一昨年12月に施行された公益法人制度改革関連法案への対応があります。平成25年までには、「一般社団」か「公益社団」かのどちらかを選択しなければなりません。これについては、昨年、振興会に設置いたしました「公益法人制度改革対応委員会」において、鋭意検討をしている所であります。どちらの道を選ぶにしても、これまで車の両輪として一体的に事業推進を展開してきた商工組合を含め、新たな法人として、振興会事業分野の適切な見直しが迫られているところであります。


 一方、商工組合にあっては、一昨年の世界的な経済不況による景気の低迷に加え、組合員の設備投資意欲は依然として冷え込んだままであり、組合員皆様の事業経営への影響はもとより、商工組合の購販事業売上にも大きな影響が出ております。

 このような厳しい環境下ではありますが、本年にあっては、各種オイル類の販売促進をはじめ、新技術に対応したOBDツール、オパシメータ、新型ヘッドライトテスタ等の用品・工具類の販売促進に加え、故障診断センター(ダイアグステーション)の利用促進等に努めてまいります。

 また、組合員支援対策の一環として、てんけんくん安心サービスステーション(ロードサービス)の推奨、リサイクルオイルフィルタ、リユースバッテリーの推奨、廃棄バッテリー及びアルミホイールの国内リサイクル等、組合員ニーズに基づいた事業を展開してまいりますので、更なるご支援ご協力を重ねてお願い申し上げます。


 本年においては「自動車重量税の暫定税率見直しへの対応」「東京都適合車ステッカーの推進」「公益法人制度改革関連法への対応」「高度化する故障診断技術(OBDツール)への対応」をはじめとした大きな課題に取り組み、振興会商工組合も、厳しい状況を乗り越えていかなければなりません。

 今後とも、会員組合員のために、必要とされる業界団体として、一層の効率化と更なるサービス向上に努め組織を運営してまいる所存です。


 最後に、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

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