お知らせ詳細

2009/04/10最近の話題

自工会、2008年度小型・軽トラック市場動向調査

 日本自動車工業会は、2008年度に実施した小型・軽トラック市場動向調査の結果をまとめた。
 調査は、ユーザーと事業所を対象に実施され、小型・軽トラックユーザーの保有・購入・使用実態などを時系列的に捉え市場構造の変化を把握することに加え、自動車に関する法令や条令の施行・改定や少子高齢化といった小型・軽トラック市場を取り巻く社会的な環境の変化を踏まえ、「運転者の採用状況」「大気環境改善などに対する意識」「免許制度改正の影響」「農家におけるトラック・バンの動向」「駐車違反取り締まり強化の影響」についての把握も行われた。


■調査結果の主な特徴

 ・横ばいで推移していた小型・軽トラックの需要台数が減少。
 ・物資輸送量は微減。コスト重視で輸送の外部委託化傾向。
 ・経営状況は悪化。今後は輸送量、保有台数とも減少見通し。
 ・運転手の高齢化は進展。今後の採用拡大は、AT限定およびパートの運転手。
 ・地球温暖化など環境改善に対する関心高まる。
 ・新免許制度認知は高まる。運輸業で今後の中型免許採用拡大の兆し。
 ・農家ユーザーの高齢化進展。後継者不足も深刻化。
 ・燃料サーチャージ制を荷主から受け入れられた運輸業は17%。
 ・駐車違反取り締まり強化の影響は、沈静化しつつあることが窺われる。


■調査結果の概要

<保有・需要構造の変化>
 横ばいで推移していた小型・軽トラックの需要台数が減少へ
 ・小型・軽トラック・バンの保有台数は減少傾向で推移、横ばい状態であった需要台数も、2006年から2007年にかけて減少している。
 ・最近1年間のトラック・バンの購入率は全体では12%と2006年調査時の22%から減少しており、業種別にみると、運輸業は43%から30%、運輸業以外は21%から11%へ減少している。


<使用状況と輸送の実態>

 物資輸送量は微減 コスト重視で輸送の外部委託化傾向
 ・業務用車の使用状況をみると、2006年調査と比較した場合、行動半径では変化はないが、月間走行距離は減少している。通常の重量積載率は全体では「50%以下」が64%と2006年調査の65%とほぼ同レベルである。
 ・国土交通省「自動車輸送統計年報」によると、減少傾向にあった営業用小型トラック・バンの貨物輸送量(輸送トン数)は下げ止まった。ただし、最近の物資輸送量が「減少している」とする事業所の比率が微増している。一方で、保有車の稼動状況に大きな変化はない。
 ・輸送手段選択時の重視点は「コストが安い」「安全・確実に輸送できる」「早く輸送できる」の順に高く、2006年調査に比べ「コストが安い」重視の傾向は強まっている。また、物資輸送の外部委託や宅配便の利用が増加傾向にある。


<経営状況と保有への意向>

 経営状況は悪化へ 今後は輸送量、保有台数とも減少見通し
 ・経営状況に回復の兆しがみられた2006年調査から一転、「悪くなっている」とする事業所が増加、今後の見通しも「悪くなると思う」が45%を占める。特に、建設・設備工事業、食品・繊維類製造業、運輸業では、現状・今後ともに「悪い」とする事業所が多い。
 ・最近の物資輸送量は「減少」が2006年調査に比べ増加、今後の見通しでも「減少すると思う」が大幅に増加。特に運輸業では、今後の見通しで「減少」比率が56%に達した。
 ・最近5年間のトラック・バンの保有台数の増減については、大きな変化はないが、今後の見通しについては、運輸業、運輸業以外ともに保有台数は「減少すると思う」比率が増加、特に運輸業では47%に達している。


<運転手の採用状況>

 運転手の高齢化は進展 今後の採用拡大はAT限定、パートの運転手
 ・運転手不足の困窮度は全体では3%、運輸業では25%の事業所が「困っている」としている。運転手の高齢化は進んでおり、特に運輸業での高齢運転手は増加傾向にある。
 ・高齢運転手の「現在採用率」は29%で大きな変化はなし。女性運転手の「現在採用率」 は7%で、2006年調査からわずかに減少した。
 ・「今後の採用予定率」と「現在採用率」の関係から、今後の採用拡大の意向がある運転手は、AT限定免許運転手とパートタイム運転手。女性は運輸業での採用拡大意向が窺われる。高齢者の今後の採用は縮小傾向といえる。


<大気環境改善などに対する意識>

 地球温暖化など環境改善に対する関心高まる
 ・境問題に対する考え方として、「アイドリングをやめる」「燃費効率の良い経済速度で走行」が当てはまる事業所は7割以上。また「CO2排出による地球温暖化」「NOxやPM排出による大気への影響」「自動車の材料・部品リサイクル」に対して「非常に関心がある」事業所が2006年調査に比べ増加。
 ・「自動車NOx・PM法」について、「すでに影響があった」「今後影響がある」の合計比率は38%で2006年調査を上回った。特にディーゼル車保有事業所の影響度が大きい。 「自動車NOx・PM法」への対応として、「規制に適合したディーゼル車に買い替え」 「規制に適合したガソリン車に買い替え」の比率はそれぞれ3割台で高い。運輸業では「規制に適合したディーゼル車に買い替え」の比率が68%。


<免許制度改正の影響>

 新免許制度認知は高まる 運輸業で今後の中型免許採用拡大の兆し
 ・昨年度、免許制度改正により新設された中型免許に関する2~3.5トントラック保有事業所の認知率をみると、「内容も含め知っている」は27%と2006年調査から増加。特に運輸業では2006年調査より20ポイント上昇し、77%に達している。ただし、中型免許新設への「対応が必要だった」とする事業所は1%にすぎない。
 ・2~3.5トントラック保有の運輸業では中型免許所持者採用率は43%で、事業所全体に比べ高い。今後の中型免許所持者採用意向についても、運輸業では70%と高く、中型免許所持者の採用の拡大の可能性が窺われる。


<農家におけるトラック・バンの動向>

 農家ユーザーの高齢化進展 後継者不足も深刻化
 ・農業トラック・バンユーザーは「60才以上」が57%を占めており、高齢者比率が高い。
 ・農業の継続については「規模を縮小して継続」が28%で2006年調査より増加。また、農業の後継者が「いない」は45%で2006年調査より増加している。
 ・今後のトラック・バン保有台数は「変わらない」が87%ながら、2006年調査より減少。同じ車種を使用し続ける意向は93%と依然高い。


<燃料価格高騰の影響>
 燃料サーチャージ制を荷主から受け入れられた運輸業は17%
 ・2008年の急激な燃料価格高騰時の対策として、保有・購入に関しては「車両の購入を従来より遅らせた」、車使用面では「安いガソリンスタンドで給油」「無駄なアイドリングをやめる」「燃費効率の良い経済速度で走行」が高い比率であった。
 ・「燃料サーチャージ制」に関しては、運輸業の8割強が認知。実際に導入を荷主に要請していた運輸業は21%、今後導入要請しようとしていた運輸業は24%であった。


<駐車違反取り締まり強化の影響>
 ・駐車違反取り締まり強化の影響は、全体では「すでに影響」26%、「今後影響」9%で、2006年調査時より減少、沈静化しつつあることが窺われる。 


■自工会ホームページ
2008年度小型・軽トラック市場動向調査について
2008年度小型・軽トラック市場調査報告書(PDF:2.22MB)

ページトップへ