新年明けましておめでとうございます。
平成21年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
昨年の日本経済は、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融機関への影響や、原油高による諸物価上昇などの不安材料とともに、厳しい状況となりました。
また、自動車保有台数が戦後初めて前年割れを記録し、少子高齢化社会の中で、若者のクルマ離れやガソリン価格の乱高下が新車販売に与える影響は大きく、日本の自動車産業を取り巻く経済環境は、以前にも増して厳しい状況となりつつあります。
一方で、乗用車の平均車齢は16年連続して高齢化し7.23年、乗用車が抹消されるまでの平均使用年数は11.67年と過去最長を記録しました。
こうした環境のなか、自動車整備業界の昨年を振り返ってみますと、1月には、3年間にわたって会員組合員の皆様のご協力をいただき推進してまいりました自動車リサイクル法における継続検査時のリサイクル料金の預託業務が終了いたしました。
また、検査手数料が変更となり、持込の継続検査にあっては、「自動車検査登録印紙」と「自動車審査証紙」の2種類が必要となりました。特に大きなトラブルもなく円滑に推進することができましたことに感謝申し上げます。
昨年、大きな話題となった、道路特定財源の暫定税率の問題については、既にご承知のように、参議院選挙による与野党の逆転により「ねじれ国会」が展開され、租税特別措置法の期限切れで道路特定財源である、揮発油税や自動車取得税などの暫定税率が失効し、1ヶ月余にわたり税率が引き下げられ、ガソリン価格が下がりました。4月末には、税制関連法案が衆議院で再可決され、従来どおりの暫定税率が適用されましたが、当会で売り捌きしている自動車重量税についても、暫定税率期限切れを予想した車検の後送り等によって、5月の連休明けに窓口に受検者が集中することを想定し、対応を図ってまいりましたが、皆様のご協力のおかげで、大きな混乱もなく対応することができました。
「平成19年度自動車分解整備業実態調査結果」によると、「総整備売上高」は5兆9,524億円となり、対前年比は2.3%の減少となりました。
こうした厳しい状況のなか、自動車に関連した環境や交通安全問題などへの対応が求められており、昨年はこれらの課題に積極的に取り組んでまいりました。
制度改正などに関する要望活動として、指定工場における工員数の緩和や保安基準適合標章の前面ガラスへの貼付、特定商取引法の適用除外などについて関係方面へ訴えてきましたが、これらの要望が実を結び、我々の主張が理解されました。
特に、特定商取引法改正については、自動車整備業にクーリングオフが適用されると、一度点検整備した車を元に戻すのは困難なこと等から、日整連を中心として、自動車整備業適用除外の要望活動を展開し、当会としても、パブリックコメントに意見提出するとともに、関係方面に理解を求めてきました。
特定商取引法は、消費者保護を大きな目的としていますが、我々自動車整備事業者にあっては、関係法令を守ることが社会の信頼を得ることにつながり、あわせて消費者保護にもつながります。会員組合員の皆様にあっては、これらを確実に遂行していただくようお願い申し上げ、関係方面の力強いご理解に心から感謝を申し上げる次第であります。
コンプライアンスが求められている時代にあって、食品産業による賞味期限等の不正表示問題が後を絶ちません。我々自動車整備事業者にあっても、指定整備事業者におけるコンプライアンスは大きな課題です。本年においても、指定整備事業の適正化に向けた取り組みとして、指定整備事業者の研修会開催や会員事業場の巡回相談、自動車検査員実務研修会、ディーラー連絡会等を実施し、更なる自動車分解整備事業経営の健全化に努めてまいります。
昨年、国土交通省では、7月を強化月間とし、未認証行為の排除に向けた取組みを実施いたしました。その結果、全国から寄せられた情報をもとに、調査・立入・指導等が行われました。未認証事業場における分解整備の実施については、今後も引き続き、関係当局とも連携のうえ、情報の把握に努め、分解整備の実施に必要な認証の取得等の指導に努めてまいります。
一方で、高度な自動車メカニズムへの対応が求められているなか、昨年10月より、ガソリンまたはLPGを燃料とする車両総重量3.5t以下の新車に対し、高度な車載式故障診断装置(J-OBDII)の装備が義務付けとなり、自動車整備士におけるOBDツールへの対応は避けては通ることができない現実となりました。
このように、整備技術の向上と電子機器を使用した故障診断技術の習得等を目的に、本年はOBDツールの試用貸出をはじめ、ハイブリッド車両の研修、新技術に対応する技術講習等を開催してまいります。また、自動車整備士の技術の研鑽とレベルアップを目的に「東京都自動車整備技能競技大会」を開催し、11月に予定されている「第17回全日本自動車整備技能競技大会」での上位入賞を目指していく所存であります。
昨年、ガソリン価格が高騰し、渋滞解消や交通事故件数の減少が話題となりました。一方で、自動車ユーザーのエコドライブへの関心も高まりました。
環境問題への対応として、昨年は環境に優しい自動車整備事業場顕彰の推薦等を展開してまいりましたが、本年もこれらに加え、整備事業場におけるCO2削減取り組み、エコ点検・エコ整備の研究、東京都の環境対策への協力等、積極的に環境問題に取り組んでまいる所存です。
定期点検整備等に関連したデータを収集するため、昨年、当会が独自で、都内幹線道路を走行中の自動車を対象に「自動車灯火類調査」として、13,200台の車両に対し、ブレーキランプやヘッドライトの球切れを調査しました。その結果、3.3%に灯火類の異常がありました。調査結果からもお分かりのように、これらの多くは自動車ユーザーの日常点検で発見できます。
自動車ユーザーの保守管理意識はまだまだ低く、これらの調査結果をもとに、引き続き自動車の保守管理意識の高揚と点検整備の必要性アピールするため、ラジオCM放送、てんけんくんラッピングバス走行、ユーザー向け新聞の発行を実施し、「安全」と「環境」の観点から点検整備の重要性について啓発活動に取り組んでまいります。
また、今年の大きな課題として、昨年12月に施行された公益法人制度の改革があります。自動車整備振興会は、道路運送車両法に基づく団体として50年有余にわたって公益事業を推進してまいりました。
公益法人改革関連法案において、公益認定法人に移行するには、振興会の事業活動を公益認定基準に適合させなければなりません。これらの課題について検討するため、「公益法人制度改革対応委員会」を設置し、新たな公益法人としての適切な対応を図ってまいります。
一方、商工組合にあっては、冒頭に申しあげましたとおり、原油価格の高騰により、オイルや自動車部品等が値上がり、組合員皆様の事業経営への影響はもとより、商工組合の購販事業の売上にも大きな影響が出ております。
このような厳しい環境下ではありますが、極力組合員皆様のご負担を軽減すべく努力をしてまいりますので、何卒ご理解ご協力のほどお願いを申し上げます。
組合員のニーズに対応したサービスとして、制度改正や高度化する自動車整備技術等に対応した、オパシメータやヘッドライトテスタ等の用品・工具類の販売促進に加え、故障診断センター(ダイアグステーション)との連携強化等に努めてまいります。また、環境保全への対応サービスとして、リユース(復元)バッテリーの推奨、廃棄バッテリー及びアルミホイールの国内リサイクル、使用済み自動車の適正処理等、組合員ニーズに基づいた新商品の開発、集客ツールを提供してまいりますので、更なるご支援ご協力を重ねてお願い申し上げます。
オバマ米次期大統領は、「CHANGE」というキーワードを説いていました。我々業界団体が対応していかなければならない課題は山積しており、振興会商工組合も、厳しい環境を乗り越えていかなければなりません。ピンチを「CHANCE(チャンス)」と受けとめ、「CHANGE(チェンジ)」を恐れることなく「CHALLENGE(チャレンジ)」することで、会員組合員のために、必要とされる業界団体として、一層の効率化と更なるサービス向上に努め組織を運営してまいる所存です。
最後に、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。