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2016/01/01最近の話題

平成28年 年頭所感 西村健二会長理事長



あけましておめでとうございます。
平成28年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

わが国の経済状況は、大企業を中心とした収益や雇用の改善など政府による経済政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待される状況にあります。しかし、急速な円安によって輸入品の価格が上昇している一方で、世界経済をけん引してきた中国経済の停滞感をはじめ、中東情勢の悪化などを背景とした原油価格の下落により、支出の多くを占めるエネルギー関連費用が抑制されていることから、当初予定されていた物価のインフレ目標を下回る状況が続いている状況にあります。さらに、平成29年4月に予定されている消費税率の引き上げの影響など、わが国経済を取り巻く環境は引き続き不安材料を抱えており、国内産業の多くを占める中小企業に景気回復の流れが及んでいないことからも、今後一層の経済対策の推進が期待されるところです。

一方、全国における自動車保有状況は、一昨年に初めて8,000万台を超過するとともに増加を続けておりますが、その一方で、東京都においては平成9年を頂点として減少傾向が続いていることから、自動車整備業を取り巻く状況は引き続き厳しい状況にあると言えます。加えて、整備要員の平均年齢も全国平均で43.8歳となっており、年を追うごとに高齢化が進行しているとともに、特に専業者の高齢化が顕著であることからも、若年整備要員の確保が自動車整備業界全体の課題となっております。

自動車技術の面においては、ハイブリッド車をはじめプラグインハイブリッド車や燃料電池車など、先進の技術が盛り込まれた環境対応車や燃費性能の高い軽自動車、小型車などの普及が急速に進んでいるとともに、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報などの予防安全技術を搭載した車両が急速に増加しております。
また、昨年開催された東京モーターショーにおいては、予防安全技術を発展させた「自動運転車」の技術が数多く発表されるなど、今後の自動車保有構造は、先進技術を駆使した高度な電子制御技術を基礎として大きく変化していくことが予想されるところです。

これに加えて、自動車整備事業者にあっては全国の保有車両が高齢化を続けている背景から、より多くの点検整備を必要とする「長期使用車両」に対しても確実な対応が求められており、スキャンツールをはじめとする高度な診断機器の導入と故障診断技術の習得に合わせ、定期点検整備実施の啓発をはじめ、様々な車両に対応するための高い技術力の習得が「安全で安心なクルマ社会の構築」のために必要となってまいります。
なかでも、人材確保については、政府において少子高齢化への対策として「1億総活躍社会」作りが表明されるなど、人材不足の構造的な課題の解消に向けての対策に期待が持たれているほか、国土交通省においても、若年労働者確保のための高等学校訪問をはじめ、自動車整備業における女性の進出を促すためのPR活動など、自動車整備士の仕事に対する理解を深める活動を継続的に実施していただいております。

東整振におきましても、整備要員確保の一環として昨年10月より開始したホームページへの「自動車整備士求人掲示板」掲載をはじめとして、今後も人材確保に向けた仕組みづくりを検討していくとともに、合わせて事業者に対する自動車整備技術向上対策として、業界のIT化促進やスキャンツールの活用のために必須となるFAINESの利用促進をはじめ、新型車を対象としたディーラー別研修会の開催などを継続的に実施していくほか、スキャンツールを活用した整備を自動車ユーザーに広めていくため、「スキャンツール活用事業場認定制度」の普及促進に努めてまいります。
また、昨年は自動車整備業界で最大のイベントである「第20回全日本自動車整備技能競技大会」が開催されましたが、当会においても「第15回東京都自動車整備技能競技大会」を開催し、東京代表チームを選抜して全国大会に挑みました。
結果は惜しくも上位入賞には至りませんでしたが、関係者の皆様をはじめ、業務多用のところ会場まで応援にお越しいただいた皆さまに改めてお礼を申し上げます。

東整振におきましては、教育委員会、事業指導委員会などの委員会組織を活用し、専門性の高い部門別の検討事項について審議することで引き続き組織の活性化に尽力してまいりたいと思います。また、全国の整備事業者で相次ぐペーパー車検や不正改造事案を重く受け止め、研修会などの機会を捉えて周知を徹底していくとともに、会員事業場への巡回相談や研修会などを充実することで指定自動車整備事業の意識向上と適正化に取り組んでいくほか、自動車整備事業者の法令遵守に対応してまいります。なお、国土交通省のシステム更改に合わせて検討されている自動車保有関係手続きのワンストップサービスの継続検査などに対する手続きの拡大については、平成29年の実施が予定されていることからも、引き続き動向に注視してまいりますとともに迅速な情報伝達に努めてまいりたいと思います。

一方、都整商におきましては、事業の中核としておりました「自動車整備近代化資金」の事業が平成30年をもって終了することから、都整商あり方検討会より提出された提言を念頭に置きつつ、今後の事業の活性化策についての検討を深化してまいりますとともに、本年においてもスキャンツールの普及促進などに合わせ、ハイブリッド車をはじめとする次世代自動車の整備需要に対応した用品の拡充などにより経済事業を中心とする事業の活性化と組合員に対する支援業務の拡充に努めてまいります。
特に、事業者が経費をかけることなく売掛未収金を回収するための「組合員売掛債権回収代行業務」や新型車等のバッテリーやオイルなどについての知識充実を目的とした「商品知識に関する講習会」の開催など、組合員事業者の円滑な事業運営と収益向上のための支援業務を引き続き推進していくこととしております。

自動車整備業界は、自動車使用者のニーズをはじめ、自動車技術の進歩への対応など様々な環境の変化のなかにあります。本年はこのような状況に対し柔軟かつ着実に取り組んでいくとともに、両団体の一層の効率化と業界の活性化に努め組織を運営してまいる所存です。
結びにあたり、日頃からの会務運営に対する関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力にお礼申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。
 

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