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2008/01/01最近の話題

平成20年 年頭所感 坂本浅喜與会長理事長



  新年明けましておめでとうございます。
 平成20年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

 昨年の社会情勢を振り返ってみますと、参議院選挙による与野党の逆転により、「ねじれ国会」が展開されています。
 この「ねじれ現象」の一つとして、「道路特定財源の暫定税率」の問題が浮上してきました。道路特定財源は揮発油税等が本年3月末、自動車重量税が4月末で暫定税率の期限が切れ、これが本則に戻ると税収の大幅減少が見込まれます。

 本年は、このような社会情勢が我々の生活や自動車整備業界にどのように影響してくるか、また、自動車ユーザーに直接関係するガソリン価格の高騰や首都高速道路距離制料金の導入など、念頭に置き注視していく必要があります。

     

社団法人 東京都自動車整備振興会 会 長
東京都自動車整備商工組合       理事長
               坂 本  浅 喜 與


  「平成18年度自動車分解整備業実態調査結果」によると、総整備売上高は6兆945億円と4年連続で対前年度比は増加し5年ぶりに6兆円台に達し、回復傾向にあるといわれるものの、個々の自動車整備事業者にとって、景況感は伝わってこないのが現実です。
  こうした環境の中、昨年の自動車整備業界は、目まぐるしい勢いで変化する社会経済情勢や法改正等へ対応してまいりました。

  自動車リサイクル法における、継続検査時のリサイクル料金預託は、本年1月31日をもって終了いたしますが、この3年間、会員組合員各位のご協力により、大きなトラブルもなく円滑に推進することができました。

  昨年4月1日から、小型二輪車の初回車検が1年延長される道路運送車両法の一部改正が施行されました。平成15年12月に「総合規制改革会議」の答申において「車検有効期間の見直し」が取り上げられました。これに対応するため「車検の有効期間が延長されることによって、車両の安全性と環境保全が後退する」ことを強く訴えてきました。その結果、この主張が理解され、二輪車の初回車検は延長となったものの、自家用乗用車の車検期間延長は見送られました。

 また、本会が長年にわたり、指定工場における工員数の緩和を要望してきましたが、昨年4月から大型車両を取り扱う工場を除き指定工場の工員数が「5人以上」から「4人以上」に緩和されました。
  このように、昨年は、我々が主張してきたいくつかの要望が実を結んだ年であり、関係方面並びに会員皆様の力強いご理解に心から感謝を申し上げる次第であります。

 新車の新規登録における「自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)」については、利用伸び悩みの状況が続いていることから、利便性と利用率の向上を図るため、昨年11月末には、住基カード以外に、印鑑証明書と委任状でもOSSを利用することができるようになりました。私共に直接関係する、継続検査のOSSにつきましては、新車のOSSの利用率向上が大きな前提と聞いており、今後の成り行きを見守っていく必要があります。

  昨年、経済産業省が特定商取引に対するパブリックコメントを行いました。これによって特定商取引法が改正されると、ほとんどの役務に対してクーリングオフが適用されてしまい、自動車整備業にこれが適用されると、一度点検整備した車を元に戻すのは困難なこと等から、日整連を中心として、自動車整備業はこの適用から除外してもらうよう要望活動を展開いたしました。当会としても、関係方面に理解を求め要望活動を実施しました。特定商取引法の一部改正問題は、今年が大きな正念場となりそうです。

 本年より道路運送車両法関係手数料令の一部改正により、検査手数料が変更となりました。これにより持込の継続検査にあっては、「自動車検査登録印紙」と「自動車審査証紙」の2種類が必要となりましたが、当面はこの変更による対応が求められることとなります。

  昨年は、食品産業による賞味期限等の不正表示がマスコミを賑わせました。コンプライアンスが求められている時代にあって、残念なことに、指定整備事業者に対する行政処分が相次いでいます。本年においても、指定整備事業者の研修会開催や会員事業場の巡回相談、自動車検査員実務研修会等を実施し、更なる自動車分解整備事業経営の健全化を目的に法令遵守の徹底に努めてまいります。

 一方で、未認証工場による分解整備の問題がありますが、昨年、国土交通省は、未認証行為の排除に向けた取組みの一環として、7月を強化月間とし、広く未認証工場の情報提供を求めた結果、全国から寄せられた情報をもとに、立入等が実施されました。未認証事業場における分解整備の実施については、本年も同様に情報収集に努め、自動車分解整備事業の健全化を図っていきたいと思いますので、会員組合員の皆様にあっては、更なる情報提供にご協力くださいますようお願い申し上げます。

 本年10月よりガソリンまたはLPGを燃料とする車両総重量3.5t以下の新車に対し、高度な車載式故障診断装置(J-OBDII)の装備が義務付けとなり、高度化する自動車技術への対応が求められております。また、昨年の9月(輸入車は平成20年8月)以降に型式を認証するディーゼル車からオパシメータを使用した排出ガス検査を行うべく保安基準が改正され、自動車の進化と共に検査の方法も変わってきました。

 このように、高度複雑化する自動車のメカニズムを背景に、整備技術の向上、技術の研鑽と知識の習得等を目的に、昨年、「第16回全日本自動車整備技能競技大会」が開催され、東京代表選手が出場し全国総合で第4位に入賞することができました。

 本年におきましても、2年後の全日本自動車整備技能競技大会上位入賞を目指すことはもとより、OBDツール等の新技術に対応する技術講習・講座等の開催を通じ、更なる自動車整備技術の向上を図っていく所存であります。

 また、整備技術情報の拡充と会員事業場におけるIT化の推進として、昨年5月より、静岡県整備振興会が開発した「整備技術情報提供システム」を利用しております。今後も会員組合員の皆様方から寄せられた整備技術情報を共有することで、整備技術の向上を目指してまいります。

 環境問題への対応と自動車整備事業場のイメージ戦略として、環境に優しい自動車整備事業場顕彰の推薦、オアシス度チェックの無料実施等を展開してきました。この一環として、自動車整備事業場が地域社会へ貢献するため、一昨年より、警視庁生活安全部と「かけこみ110番」の協定を締結し、会員事業場の皆様方ご協力のもと、かけこみ110番を実施しております。更に、昨年は社会貢献の一助としてAED(自動体外式除細動器)を本部教育会館並びに各支所へ配備いたしました。

  広報活動として、ラジオCM放送、てんけんくんラッピングバス走行、ユーザー向け新聞の発行を実施し、「安全」と「環境」を守る観点から点検整備の重要性を広くアピールしているところでありますが、引き続き啓発活動に取り組んでまいります。

  自動車ユーザーに義務付けられている定期点検整備の実施率は、50%前後で推移しており、安全や環境面での後退が懸念されるなか、当会においては、定期点検整備促進のためのデータ収集を目的に、自動車灯火類の球切れ等の調査を行っています。これまで、都内幹線道路を走行する9,900台の自動車を調査したところ335台(3.4%)の自動車にヘッドランプやブレーキランプの球切れ等の異常がありました。今後も、このようなデータを収集することで、日常点検や定期点検整備の重要性についてアピールしていく次第であります。

  また、今年の大きな課題として公益法人制度の改革があります。公益法人改革関連法案は、本年12月に施行されます。新たな公益法人として認定されるための適切な対応を図っていかなければなりません。

  一方、商工組合にあっては、購販事業拡充を図ることを目的に、制度改正や高度化する自動車整備技術等に対応するさまざまな新商品を提供してまいります。本年においても、更なる販売拡充に努めていく所存ですので、組合員皆様の更なるご支援ご協力をお願い申し上げます。

  最後になりますが、本年は会員組合員のために必要とされる振興会商工組合となるよう業界団体としての原点に戻り、一層の効率化と更なるサービス向上に努め組織を運営してまいります。

 関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。



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