あけましておめでとうございます。
平成30年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
わが国の経済状況は、昨年9月の日銀短観において4四半期連続で改善を示しており、リーマンショック後では最も高い水準を示しております。また、昨年10月には日経平均株価が16営業日連続で上昇を続け、歴代1位となる連続上昇を記録するなど、各種指標は回復基調を示しておりますが、人手不足など未だ課題は山積しており、必ずしも先行きが明るいとは言えない状況であります。
また、昨年は自動車メーカーによる完成検査不正や素材メーカーによるデータ改ざん問題など、わが国の発展を担ってきた「ものづくり」の根幹を揺るがすような不正事案が多数判明しました。事態はISO認証あるいはJISマーク認証の取り消しにまで及ぶなど、メイドインジャパンの信頼性の失墜が懸念され、回復基調にある経済状況に冷や水を浴びせかねない状況です。
一方、自動車市場におきましては、国内におけるEVの保有台数は前年比でおよそ1万1千台の増加を示しており、自動車保有台数全体に占める割合はまだ僅かであるとはいえ、その存在感を徐々に増しております。この流れは世界的にも顕著であり、中国と、イギリスやフランスを中心とした欧州の主導によるEVシフトの加速は、昨年開催されました「第45回東京モーターショー2017」を見ても明らかであり、出展企業の多くがEV・自動運転を大きなテーマとして扱っておりました。
自動車整備事業を取り巻く状況としましては、次世代燃料自動車や先進安全自動車などハード面での変化に加え、継続検査ワンストップサービス(OSS)が昨年4月より運用が開始されるなど、ソフト面においても目まぐるしい変化の只中であります。OSSにおきましては、最終検査申請日のチェック機能や保適交付簿の自動記録などを備え、従来の保安基準適合証と比してヒューマンエラー防止効果や業務効率において優位であり、未導入の会員事業場におかれましてはぜひ導入を検討いただきたいと存じます。本年4月には手数料令の改正が予定されており、OSS申請におきましては経済的優位性も加わるなど、業務効率の一層の向上が期待できることから今後急速な普及が予想されます。
また、本年5月からはタカタ製エアバッグのリコール改修促進策として、未改修車両にあっては車検の有効期間が更新されない措置の施行が予定されております。会員事業者の皆様におかれましては、該当車両の入庫の折には自動車ユーザーへの改修のご案内など我々自動車整備事業者が担う業務・負担の増加が予想されますが、自動車ユーザーの安全を鑑み、入庫車両に対するチェック体制の構築とともに改修促進にご協力を賜りたいと存じます。
昨年11月に開催されました「第21回全日本自動車整備技能競技大会」におきましては、惜しくも入賞を果たすことはできなかったものの、東京代表選手2名の活躍により、東京都における整備技能の高さ、規範意識の高さを全国に示すと共に、後に続く整備士諸氏の範となる姿を示すことができたのではないでしょうか。選手両名の活躍は選手自身のたゆまぬ努力はもちろんのことではありますが、各ブロック・支部の皆様のご支援ご声援によるところも大であります。改めて御礼申し上げます。
東整振におきましては、スキャンツールをはじめとした高度な診断機器の活用と故障診断技術習得のための研修・講習を本年も引き続き開催し、業界全体の技術レベル向上に努めてまいります。さらに、教育委員会、事業指導委員会などの委員会組織を活用し、専門性の高い部門別の検討を進めていくことで、引き続き組織の活性化を図ってまいります。また、全国の自動車整備事業者で相次ぐペーパー車検や不正改造などについては事の重大性に鑑み、法定研修などの機会を捉えて周知を図るとともに、指定自動車整備事業の適正化を促進するため、会員事業場への巡回相談や研修会等を充実させることで、意識向上と適正化に取り組んでまいります。
一方、都整商におきましては、本年3月には「自動車整備近代化資金」制度の終了を控えており、組合員事業場の設備投資意欲の低下から購販事業の伸び悩みが懸念されるなど、今後の事業運営において大変厳しい局面を迎えようとしています。昨年10月に編成されました「第三次都整商あり方検討会」では、第二次提言で示された「東整振との組織の一体化」について議論を重ね、これからの組織と事業運営のあり方などについて提言を行う予定であります。
また、スキャンツールの普及促進や次世代自動車の整備需要に対応した用品の拡充などにより、経済事業の活性化ならびに組合員各位への支援業務の拡充に引き続き努めてまいります。特に、事業場や事務所の省エネ対策として初期投資を要しない「レンタル方式LED照明」の斡旋や「EV対応充電装置」の普及促進などの支援業務を引き続き推進してまいりますとともに、防犯対策の向上により自動車ユーザーへの信頼維持等が見込める防犯カメラのリース事業を新たに取扱うなど、より広範な支援業務に努めてまいります。
自動車整備業界は、少子高齢化による若年整備要員の確保難や、先進安全自動車などに代表される自動車技術の進歩への対応をはじめとした様々な課題に直面しております。このような変化に柔軟に対応していくとともに、両団体の一層の効率化と業界の活性化に努め組織を運営してまいる所存です。
結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。