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2015/01/01最近の話題

平成27年 年頭所感 西村健二会長理事長


 
 

 あけましておめでとうございます。
 平成27年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

 わが国の経済状況を見ますと、長年にわたる景気低迷からの脱却に向け、政府による経済政策の効果により流れが変わりつつあります。しかし、昨年4月に実施された消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動による個人消費の低迷や急激な円安による原材料の値上がりに合わせてエネルギー価格の高騰なども加わり、特に中小企業にあっては十分な政策効果が発揮されていない状況にあります。
 このように、わが国経済を取り巻く環境は引き続き不透明であることから、今後の経済回復の見通しは不安定な状態の継続が懸念されるところです。また、わが国の自動車保有状況は平成26年3月末現在で8,027万台となり、一昨年に比べ約65万台増加し、初めて8,000万台を超過するとともに過去最高となった一方で、東京都においては前年度と比較して微増となったものの引き続き減少傾向が続いており、自動車整備業を取り巻く状況は引き続き厳しい状況にあります。
 


 自動車については、ハイブリッド車をはじめとする環境対応車や燃費性能の高い軽自動車、小型車などへの移行が急速に進んでいるとともに、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報などの予防安全技術を搭載した車両も増加しております。また、昨年末には量産車では初めてとなる「燃料電池車」の販売が開始されるなど、今後の自動車保有構造もいわゆる次世代自動車を中心として大きな変化が予想されるところです。加えて、全国の保有車両は、乗用車の平均車齢が22年連続で高齢化を続けているなど、より多くの点検整備を必要とする「長期使用車両への対応」も課題の一つとなっています。
 このような状況のなかで、安全で安心なクルマ社会の構築と多様化する自動車の安全性・性能を維持していくためには自動車整備事業者による点検整備の重要性が一段と増していくものとなることから、スキャンツールをはじめとする高度な診断機器の導入と故障診断技術の習得に合わせ、低い定期点検整備率の背景から、更なる定期点検整備実施の啓発をはじめ、様々な車両に対応するための高い技術力が重要な要素となってまいります。 
 平成25年度版自動車整備白書によると、整備要員の全国平均年齢は43.5歳となっており、特に専業者では高齢化が進行している状況からも、若年整備要員の確保が自動車整備業界全体の課題となっております。
 国土交通省においては、自動車整備事業者が機器を導入するための助成制度の継続実施や自動車整備士資格要件の見直しに対する検討など、スキャンツールの活用促進や整備要員の技術向上に対して積極的な支援策を実施しているほか、整備要員の確保にあたっては、若年労働者確保のため、昨年度より高等学校に訪問し自動車整備士の仕事に対する理解を深める活動を実施していることに加え、自動車整備業における女性の進出を促すための施策についても検討を進めていただいております。
 

 

 東整振におきましても、スキャンツールを活用した整備を自動車ユーザーに広めていくため、「スキャンツール活用事業場認定制度」の普及促進に努めるとともに、自動車整備業界のIT化促進やスキャンツールの活用のために欠くことのできない「FAINES」の利用促進をはじめ、新型車を対象としたディーラー別研修会の開催など、整備技術向上対策を継続的に実施していくほか、人材対策につきましても、整備要員確保に向けた仕組みづくりを検討してまいります。
 なお、本年秋には「第20回全日本自動車整備技能競技大会」が開催されますが、東整振におきましても、全国大会へ出場する東京代表チームを選抜するため「東京都自動車整備技能競技大会」を開催いたします。この大会におきましては、これまでの予選方式を改め、優秀な自動車整備士をより選抜しやすくすることで更なる技術力の向上を促してまいりたいと思います。

 東整振における組織運営に関しましては、一般社団法人化に伴い新たな組織づくりに即した会務の運営に尽力してまいりました。昨年におきましては、教育委員会、事業指導委員会などの委員会組織を再編し、専門性の高い部門別の検討事項について審議し、引き続き活性化を促してまいりたいと思います。また、現在国土交通省において、平成29年度を目途に自動車保有関係手続きのワンストップサービスのサービス地域拡大や継続検査などに対する手続きの拡大が検討されており、自動車整備事業者の業務にあっては大きな影響を与えることが想定されることから、今後の動向に注視してまいります。
 さらに、自動車整備事業者の法令遵守への対応としましては、全国の整備事業者で相次ぐペーパー車検や不正改造事案を鑑み、法定研修などの機会を捉えて周知を図っていくとともに、特に、指定自動車整備事業の適正化を促すため、指定自動車整備事業者研修会や会員事業場への巡回相談等を充実させることで、意識向上と適正化に取り組んでまいります。
 

 

 一方、都整商におきましては、「都整商あり方検討会」より提出された提言を念頭に、昨年に事業委員会兼金融(金融審査)委員会を再編し、経済事業を中心とする事業の活性化に努めているところであります。
 近年は、自動車の高度化に伴う部品用品の多様化やスキャンツール、法改正に対応した検査機器の導入など、自動車整備業を取り巻く状況の変化が著しいことから、組合員に対する支援業務を拡充していくため、スキャンツールの普及促進などに合わせ、ハイブリッド車をはじめとする次世代自動車の整備需要に対応した用品の拡充に努めてまいります。
 特に、環境対応車に採用されるバッテリーやオイルなどについては、性能維持のために厳密化される傾向にあり、新たな商品知識を必要とすることから、商品知識に関する講習会の開催など、組合員事業者の収益向上つなげるための取り組みを進めていくこととしております。
 
 自動車整備業界は、自動車の進歩への対応をはじめ様々な課題に直面しております。本年はこのような変化に対し柔軟に取り組んでいくとともに、両団体の一層の効率化と業界の活性化に努め組織を運営してまいる所存です。結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

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