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2022/01/01最近の話題

令和4年 年頭所感 片山守会長理事長



新年あけましておめでとうございます。
令和4年を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

一昨年に引き続きコロナ禍に翻弄された昨年は、夏期には全国の新規感染者数が連日1万人を超える大変な拡大局面を迎えました。8月26日に一日の新規感染者数26,050人を数えて以降は減少に転じたものの、9月以降の新規感染者数の減少メカニズムには不透明な部分もあることから不安が残ります。加えて諸外国では秋以降に再び拡大局面に転じているほか、新たな変異株であるオミクロン株の出現など、未だ予断を許さない状況が続いていると言えます。また、4回にわたって発令された緊急事態宣言の影響は、外出自粛や飲食店の時短営業による消費抑制といった個人消費の落ち込みという形で現れました。そのため7-9月期のGDPは年率換算でマイナス3%を示し、感染拡大防止と経済活動の両立の困難さを思い知らされる事態となりました。

このような中、昨年11月に発足した第2次岸田内閣では、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした「新しい資本主義」を標榜しており、法人の上限を250万円とする「事業復活支援金」や住民税非課税世帯への10万円の給付等をはじめとしたコロナ拡大防止のほか、自動車の電動化推進、蓄電池や半導体の国内生産基盤の確保に向けた大規模投資の促進といった、自動車産業の今後に係わる分野に関する戦略等が示されました。そのほか、賃上げを行う企業への税制支援の強化や下請取引への監督体制の強化、最低賃金引上げのための助成の充実といった分配の強化を打ち出しており、社会経済活動の再開と景気回復への寄与が期待されます。

自動車の分野に目を向けますと、新車販売の現場では、昨年より続く世界的な半導体不足や、東南アジアでの感染拡大に起因する自動車部品の供給不足等の影響が長期化しており、自動車メーカー各社では減産を余儀なくされております。そのため、新型車効果などにより旺盛な新車需要に応じることが難しい局面が続いており、昨年10月の国内乗用車メーカー8社による世界生産台数は、前年同月比24.4%と大幅なマイナスを記しました。国内550万人ともいわれているすそ野の広い自動車産業の好不調は、国内景気に多大な影響を及ぼすとともに後々の車検・点検整備入庫への影響が懸念されます。

また、欧米の自動車メーカー各社では、電気自動車を主軸としたラインナップの電動化を進めており、これに続くように国内自動車メーカー各社においても電気自動車の市場投入が進められております。カーボンニュートラルの達成に向けては、電動化が主流となりつつある一方で、モータースポーツの分野では水素や代替燃料についても取り組みが進められており、カーボンニュートラル達成の道筋はひとつではなく様々な可能性が存在することが見て取れます。電動化の推進においては、わが国では再生可能エネルギーの構成比率等から電力供給での課題も指摘されている状況ではあります。しかしながら、子や孫の世代に対する責任として、わが国CO2排出量の16%を占めるとされている自動車分野のカーボンニュートラル達成は避けては通れない課題であります。東整振では、自動車分野のCO2排出量削減に資する取組みとして、今後のZEVの普及拡大を見据え、低圧の電気装置に関する基礎知識や電動車の整備技能の修得支援に引き続き努めていくとともに、自動車ユーザーの皆様に向けた定期点検整備の実施啓発に努めてまいります。

他方で昨年10月より施行された改正自動車点検基準では、二輪自動車や被牽引自動車などの一部の車種を除くOBDの診断結果が新たに追加され、電子制御装置が点検の対象とされたところです。衝突被害軽減ブレーキ等の運行補助装置のほか、ABSやエアバッグ等、従前より広く普及している安全装置も対象装置とされていることから、会員事業場の皆様もすでにご対応されていることと思いますが、今後の令和6年10月には「OBD検査」の運用開始も予定されており、OBD機能を活用した点検整備技能の向上は日々重要度を増してまいります。加えて、自動運転技術の一層の進展により、搭載されるセンサ類の種類や数の増加が見込まれ、故障等が発生した場合には、自動車ユーザーに多大な影響を与えることが想定されます。そのための電子的な知識・技能の修得は避けては通れない課題となっており、東整振では、引き続き電子制御装置整備認証の整備主任者資格取得講習およびレベル別のスキャンツール研修会等の開催に努め、電子的な知識・技能の修得支援を進めてまいります。

また、昨年は、残念ながら全国的に指定自動車整備事業者による不正事案が多く見られました。指定自動車整備事業の厳正かつ公正な事業運営の徹底は、業界の長年のテーマであることはご承知の通りです。東整振では、指定自動車整備事業が担う社会的責任に鑑み、これまで以上の巡回相談の利用促進等を通じて、指定自動車整備事業の適正化に努めてまいります。

本年11月には「第23回全日本自動車整備技能競技大会」の開催が予定されております。業界最大のイベントである同競技大会は、隔年での開催とされており、本来であれば昨年が開催年でありましたが、コロナ禍によって開催叶わず本年に延期されたところです。実に3年ぶりとなる全国大会に向けて、東整振におきましても、東京代表選手を選出するため「第18回東京都自動車整備技能競技大会」を開催いたします。前回の全国大会では惜しくも上位入賞はなりませんでしたが、本年においては優秀な成績を収めることができるよう、関係者の皆様のご協力を賜りたくよろしくお願いいたします。

次に、令和2年・3年と連続して豪雨による被害が発生し、国土交通省においては車検証の有効期間の伸長の措置が講じられました。このような自然災害が全国各地で発生していることから、会社経営において当然に考慮すべきリスクとして自然災害を挙げることに異論を唱える方はいないものと思います。都整商におきましては、昨年11月より自然災害等によるアクシデントに対し、機械設備と休業損失の補償をカバーする「キープtheモータース保険」の取扱いを開始いたしました。従前からの自動車整備業賠償共済保険の加入促進とともに、当該保険の加入促進を通じて、組合員の皆様の万が一の事業継続をお支えしてまいります。

従前からの自動車整備人材の不足や100年に一度の大変革と言われて久しい自動車を取り巻く環境の変化に加え、2年の時を経ても未だ終息の見通しが立たないコロナ禍等、わが業界が置かれている状況は、本年においても引き続き厳しいものになることが予想されます。東整振・都整商といたしましては、委員会組織を活用し、専門性の高い部門別の検討を進めていくことで、このような困難な状況に対応していくとともに、両団体が一体となって会員組合員の皆様への業務支援、業界の活性化に努め、組織を運営してまいります。

結びにあたり、関係官庁、関係団体、また会員組合員各位の深いご理解とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の事業のご繁栄を祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせていただきます。

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